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あしたの手術の準備

結局じいちゃんは、貯血のための入院から一時帰宅がかなわず、病院のベッドにしばりつけられたまま。
手術に必要なものは、私が一手に引き受けることになった。
どう考えてもあすが手術ということは、きょう、そろえるしかない。
旦那は、当日でもよかろーもんとのたまうが、このじいちゃんにして、この息子あり・・事態の認識不足と言ったら、のどをかきむしりたくなるほど。
それはさておき、するべきことはする、やれるときはちゃんとやるを心得ている私は、でかける30分前から、大騒動して、うちのなかをひっかきまわして、バスタオル、タオル等をそろえた。
あとは、病院の売店で買うものだけだ。

相変わらず、ベッドでごろ寝のお気楽テレビ鑑賞をしていたじいちゃんにお声をかけ、あしたいるものをそろえとこうか・・と、言ってみた。
売店に買いにいかないといけないんだけど、一緒にいく?それとも、私が買ってこようかとたずねてみる。
T字帯は、ふんどしがあるからいらんやろーと、いうじいちゃんを手術やから、T字帯いると思うよと、説得するものの、譲らん。
じゃ、看護士さんに聞いてみるで、保留にして。
あとは、紙オムツ、平型がいるね。
となりの人がお尻の下にひくがと言ってたから一枚でいいか・・。
それも、3枚から5枚と書いてあるから、看護士さんに聞こうねとやさしく説得する。
売店には、どうやら、自分も行くらしく、財布がいるか?と尋ね返され、いるんじゃないの、売店だからと、一応答えた。
杖ついて行くかと言うと、遠いから車いすに乗るという。
ベッドのかたわらには、常時、車いすがセットしてあり、いつでも、乗れる。
このフロアーの患者様は、皆さん、自力で車いすを器用にあやつっておられる。
じいちゃんは、自分でこげると?
いや、こいだことない。
ここをあっちやると、ブレーキで動かんごとなる。
なるほど。
えっと、じゃ、ブレーキはずしてね。
動かすから。
うっ!重い。重すぎる。じいちゃん、重いよ。
まっすぐいかず、蛇行運転になってしまう。
ナースステーションで、例のもめたT字帯と紙おむつの詳細を聞く。
男の方だから、ふんどしでだいじょうぶですよ・・。
うれしそうなじいちゃん。
紙おむつは、長方形のが売店にあるので、聞いてくださいとのこと。

エレベーターに乗り込むのは、大変。後ろから押して、方向転換しろと言うので、長四角のなかで、ぐるりとまわった。これは、案外、スムーズにできた。
車いすの車輪がえらく機敏に動いてくれる。

売店の中はもっと大変。通路にはみでた商品の箱。角にある説明の旗。
狭い通路を歩く人。よけたり、棚にあたったりする。じいちゃんの手が届くとこにうまく車いすを寄せるのは技がいる。
そこでじいちゃんの一言。
車の運転と一緒たい。
ま、そうなんですが・・。

病室に戻り、そろそろ、かえろうかなと立ちかけたら、あしたの為に麻酔の先生の説明があるといわれ、また、腰をおろす。
キンキン声のお若い女の子とでも言ったほうがよさそうな白衣の先生から説明を受ける。
意外だったのは、全身麻酔かと思ってたのに、腰から下の局所麻酔しかしないのだそうだ。手術としては、時間的に軽い方なのだろう。
麻酔を打つ時に脊髄付近に注射するとかで、左を下に横向きにならないといけない。じいちゃんは、左が悪いわけだから、日頃から、左をしたに寝ることは、していない。
ということを先生に説明する。
じいちゃんは、左向けでというのが今いちわからない。
だけど、ベッドで左を下に寝てもらったら、平気であった。
どうもない。
じゃそれでいいよね。
手術の時は、右を下に横向きに行うらしい。

麻酔は脊髄に限りなく接触する位置まで針を入れる為、手術中は、うなづきは禁止、口で、はいといいえを言って下さい。
うんと、うなづくじいちゃん。
麻酔の先生は、あせって、うなづいたら、脊髄の針が違うところにもしかしてあたりといけないので、だめですよ。
うんとうなづくじいちゃん。
うなづいたら、いかんとよ、と、私。
うなづいて、そうや、と、言うじいちゃん・・・・。
ありゃりゃ・・・きりがない・・・。

そんなこんなで、話は進み、念のため、ご高齢ですから、もしかしたら、途中で全身麻酔をするかもしれないので、その可能性と、注意について話があった。

ほとんど、聞き流していたのだが。
歯は悪くないですか?
入れ歯を入れてるけど、はずしたほうがいいですか?と、じいちゃん。
見せてください。
とりはずし、見せるじいちゃん。
これは、朝、はずしといてくださいね。と、先生。
歯は、だいじょうぶですか?
どうもなってない、と、じいちゃん。
ちょっと見せてください。大きく口をあけて。
失礼します。と、先生がさわると、ぐらぐら・・・。
あらら、おくの歯もぐらぐら。。。
全身麻酔の時は、無意識状態になって、口をこじあけるので、どうしても、口をあけるとき、歯の部分に握力がかかる。
それで、折れてしまうこともある。
そして、こわいのは、その折れた歯が器官に入ってしまって合併症をひきおこす。ゆゆしき問題だ。
じいちゃんは、相変わらず、ピンとこない様子である。
歯科医に診察してもらって、抜くかもしれません。
こんだけ、ぐらぐらしようから、抜いてた方がいいねと、私。
ほんとに、たかだか、麻酔の説明かと思ったら、とんでもない事実がでてくる。びっくり。

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