手術
朝から、目覚ましの不備があって、大忙し。5時半に起きるつもりがとっくに6時を超えていた。お弁当を作って、朝飯を食べて、身支度をして、6時50分に出る予定。
仕方がないので、立ってパンを口におしこみながら、なんとか7時前には家を出る。
朝焼けが美しいなあと余裕の観賞をしながら、病院へ向かう。
朝焼けって、下から上に山や建物を照らすのね。
以前、写真だけ見て、朝焼けと夕焼けの違いがわからなかったのだけど、初めてわかった。色といい、日のさし方といい、朝日と夕日は違う。
病室に着いたのは、7時半前で、いささか早すぎた。
とっくに、じいちゃんは起床して、テレビを見ていた。
開口一番、歯がぐらぐらしていたのをあれから、歯医者に見てもらい、かためてもらったらしい。ぐらぐらしないことをしきりと不思議がっていた。国立病院ならではの迅速な措置だろうと思う。夕方になって、気がついて、それから、歯医者で歯をかためてもらう芸当ができるとはね。ちと、九大を見直した。
そうこうするうちに車いすで手術室につれていかれたじいちゃん。
手術室の前でお別れだ。
割とあっけない。
待合室は、8時前だというのに、あっというまに人であふれ、平日なのに、こんなにたくさん。手術がたくさんあるんだろうなあ。
だいたい、11時くらいには終了の予定と聞いていたので、11時半をこえると、やきもきした。ほどなく、内線電話で名前を呼ばれた。
手術室の横の部屋で説明がある。
インフォームド・コンセントの時のように、レントゲン写真が使用前、使用後とふたつ貼付けてあった。
見事に人工関節がついていた。
先生のお話でも、申し分ない、手術のできだと言われ、間違いなく、急速破壊型と太鼓判を押された。(喜ぶべきか?)
麻酔は、腰の麻酔だけなので、自由に患者はお話できるのだが、じいちゃんは、かなり、手術中もおしゃべりしていたようだ。先生もそのおしゃべりが面白かったらしく、ぶどうが食べたいとかいわれてましたよ、と、教えていただいた。本人は、覚えていなかったが。
手術自体は、きれいにモモ骨に人工関節がささっていて、短かった左足もほぼ、長くなり、大成功と言えるだろう。
手術室から、じいちゃんが出てきた。もちろん、ベッドに安静にされたまま。
ドアから出るやいなや、じいちゃんは、何かしゃべっている。
酸素マスクが口にはめてあって、よく聞き取れない。
手術の様子、部屋が100ぐらいあるくらい広いとか、人工関節を骨にさすガンガンという音がすごかったとか。麻酔のせいか、びりびりしたとか・・。
手術室では、子供に話しかけるように話しかけられたとか。
とにかく、間断なく、しゃべっている。
おいおい、ほんとに、手術を受けた人間か。
ほかの方も手術室から出てこられてたが、みんな、土気色になって憔悴しきったお顔であったのに。
エレベーターに乗り込むも興奮さめやらず。先生はものすごく手術がスムーズにいったことを喜んでいらしたとか。スタッフの服装の話やら、おしゃべりがとまらない。ちょっと、麻酔を今からでもうってもらった方がいいんと違うやろか?おとなしくなるようなやつを。
病室に戻り、今度は、いろんな機械に体を拘束される。
お約束の点滴は、左右二本。酸素吸入に尿カテーテル。指に酸素計測器。腕に血圧形。足は、静脈血栓防止靴下にマッサージ器。患部にドレーン。背中は、麻酔を打った管からの痛み止め。
きょうは、頭をおこすのも、寝返りも禁止の絶対安静。
なのにねー。じいちゃんは、ちょっと、話しかけると、うっと首を亀の子のようにのばしてくれる。だから、首をおこすのもだめなんだってば。。
そのうち、手術した方の足が足枕から落っこちそうになる。
時計をしたら、点滴がとまって、ピーとなり、酸素計測器も自分でとって、ピーとなり、やたら、にきやかで、忙しい病室だ。そのたびに、看護士さんがでたりはいったり。
あまりにしゃべるためか、くちびるが白く乾いて、痛そう。皮膚がガビガビになっている。お茶をあげたいけど、まだ、飲むのは、禁止。
テッシュで拭くくらいはだいじょうぶといわれたけど、全然まにあわん。
寝てくれたら、一番いいんだけど。やっぱり、しゃべりたいみたい。
きょうの看護婦さんは、中年なのに、よく動いてくれて感心だと絶賛する。
ただ単に、じいちゃんの扱いに長けていらっしゃる、年の功ジカラがあるんだと思うのだけど。
ベタ褒め看護士さんは、ななめむかいのじいちゃんにも、こちらが気恥ずかしくなることをあっけらかんと話しかけてある。
ちなみに、斜め向かいのじいちゃんは暑がりのようで、すぐに上のパジャマ、シャツ、ズボンまで脱いじゃうらしい。しかも、下ははすっぽんぽんでいびきかいてるから・・若い看護婦さんは目のやり場に困るというわけ。
というようなことを中年看護士さんは、ふんどしくらいはつけてないと恥ずかしいでしょう・・男前がさがるよと、すると、そのじいちゃんもほにゃららがほにゃらら〜からねー・・って・・・。そやろ、ちゃんとふんどししないと。と、平然と受ける看護士さんは、えらかった♪
お茶飲み補助だけは、してかえろうと思ったが。
なかなか許可がおりない。
朝7時過ぎにきて、5時をまわり、きりがないので、おいとますることにした。
今一度念押しと思い。
いい、お茶飲むのも看護士さんを呼んでくださいね。決して起きて自分で飲もうと思わないように。
飲めるがよ、お茶、起きれば・・。
だ・か・ら。起きたらだめなんだってば。
きょうは絶対安静にしててね。。。
って、帰宅してからも非常に気がかりだ。
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