生餌(千代田哲雄)
俗にいう社会小説である。
ある生命保険の裏側の物語。
私もいくつか保険に入ってるが、保険会社がどういうことをしてるかなぞ考えたこともなかった。
保険会社というものは、保険料を集める。
そして、その保険料という原資を元にお金を増やしているの。
その保険会社が経営危機に陥ったとき、どうするかというと・・・。
ここからが問題なのだが。
資金を増やさなければならない。
当然、銀行は、採算の悪い保険会社に資金提供するわけがない。
健全経営なところしか、見向きもしないわけだ。
そういうときに外資系が手をあげる。
けれども、生命保険の経営者は、自らに不利な債権をわからないだろうと姑息な手段で隠す。
ばれて、即刻、契約破棄。
困り果てた経営者は、元官僚が代表を努めるファンド会社と契約。
資金提供のかわりにファンド投資を引き受けさせられることを条件に。
賢明な方は、すぐ推察できると思うけれども、たこ足である。
見かけだけは、健全経営のように見える数字のマジック。
それを言葉巧みにはきださせ、利ざやをとり、元にお戻しするときは、いかにも資金提供しているかごとくな技!
絵空事と信じたいところですが、現実には、どうなんだろう・・・。
これにたいして、常に真実を見極めようとする主人公は、会社を追われるはめに。
そう、告発である。
ねたばれして、申し訳ありませんが、ほかにも、情緒的なストーリーもからめてありますので、その辺も含めての物語。
分野違いを知るには、いい本である。
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