老人と宇宙(ジョン・スコルジー,訳 内田昌之)
原題は、Old Man's War。
直訳すれば、老人の戦い。
まさしく、75歳から、新たな一歩を踏み出す物語。
完璧なSFで、棺桶に首までつっこんでる年齢でも、夢のあるこの物語は、勇気りんりんになる。
ほとんど、あり得ないことだけど。
もしも、この年齢から、もう一度、新たに生き直せるとすれば、戦争くらいのアクシデントでも、難なくこなせるだろう。
今まで培った経験と知恵が100パーセント自在に動く肉体を与えられるならば、パーフェクト。
大人のユーモアと、近未来的エイリアンとの戦い♪
どこまでも、笑いと涙と彩られたこの物語は、最後まで飽きさせることのないストーリー展開で、読むものを惹きつけてやまない。
そうだ。75歳になったら、兵士になろう。
いずれは死ぬ75歳。
地球とはおさらばして、宇宙の平和のために戦おう。
65歳で願書をだしていた、ジョン・ペリーは、75歳の誕生日に兵士になった。
地球を捨てるということを条件に。
入隊すると、若返りができるとか、いろんなうわさのあるコロニー防衛軍。
愛する妻もなくなり、失意の日々の自分には、残された命が何かのためになるのであればと、潔く、決意した。
75歳から、そして、長く生きていることに、もしかしたら、楽しいことがあるかもしれないという夢のような楽しいストーリーである。あとは、静かに生きながらえるだけと考えてたジョン・ペリーは、もう一度、生き直すチャンスが与えられる。とにかく、読んでいくたびに、浮き世の事をすっかり忘れてしまうくらい没頭できるストーリー。これがSFの魅力なんだろう。男性でしたら、機能の回復に喜び、女性でしたら、身を投じての犠牲的精神にわくわく。
こういう世界が訪れると老人になるのが、楽しみになりそうだ。
もっとも、本の中だけでも、十分、面白い。
歳を重ねて、肉体の衰えは、あっても、その経験値というのは、何ものにも代え難いという立派な意味がわかる。
若い人も若くない人も、読んで損はないと100パーセント思える本だ。
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