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武器よさらば(ヘミングウェイ 高見浩訳 )

戦争とは何か?
ひとりの人間の戦場における役割とは?
歴史の大きな流れと違って、右往左往する兵士たちというのは、戦いの空しさのなか、あるのは、死と隣り合わせの無感動状態なのである。
映画で表される大勢の戦いの場面と違い、ひとりひとりの心の動きは、朝起きてご飯食べるがごとく。
前進して、人が撃たれ、友が血を流し、自分も傷つきの繰り返し。
たったひとつの死を扱かったものでさえ、もっと、劇的な事件であるはずなのに、たくさんの死の総体である戦争は、いっそ、事件的なはずなのに、無機質なものに陥る。
麻痺したような感覚の死。
日常的な死。
これこそが戦争の本質なのだろうか。

戦争下の楽しみである酒と女。
楽しみが本気に変わるとき、戦争の理不尽さに目覚める。

急展開する戦争と劣勢になる情勢の中での一瞬の決断が次の道を決められてしまう。
別に戦争中という異常な環境でなくても、淡々と過ごす毎日が劇的に変化することは、あるものだ。
転がり続ける運命とそれを受け入れていくフレドリックとキャサリン。
運命は、いつでも、至福と過酷があざなえる縄のようにからみあっていく。

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