ユグノーの呪い/新井政彦
人間とは記憶である。
記憶は人間の命である。
我々ヴァーチャル記憶療法士は人間の命を預かる者なのだ。
人間の記憶から発する身体的症状をなおすために、記憶空間にはいり、正しい記憶を取り戻すお手伝いをする人たちの物語である。
いささか、理解しずらい概念だけれども、ゲームのバーチャル空間といえば、わかりやすいかもしれない。
塗り替えられた記憶のせいで、目が見えなくなったりするなんて、現実では考えられないけれども、未来的発想ならば、ある得るかもしれない。
そのあたりの概念の面白さがある。
それとシフトして、歴史的背景を組み込んでいく意外性。
フランスのユグノー戦争で暗躍したカトリーヌ・メディチの呪いからの症状だと父親は、断言する。
ルチアの不可解なふるまいは、なぜなのか?
最終的種明かしは、ちと、俗説っぽいすぎる嫌いがあったが、ミステリーとしては、面白い。
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