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波に座る男たち/梶尾真治


Naminisuwaru 荒れた学園をやくざさんがのっとって、義理と人情のシステムで、生徒を立ち直らせていくという胸のすく物語があったけど、これも、それに似てるとこがある。

超単純馬鹿だけど、熱血情熱を持つおとこたちが、馬鹿一筋だけにかえって、事を成就していく様が笑えながらも、涙したりする。
かなり面白い。ストーリーそのものよりも、語り口に魅せられていく。

いきなり、博多の料亭から始まる物語は、借金で首がまわらなくなり、やくざに連れさられる。
連れ込まれたところは、台所。
それがいつのまにか、捕鯨船のコックにおさまっている。
そして、気がつけば、クリーンアースという環境保全団体という過激な団体に命を狙われる。
しかも、香港マフィアからも、捕鯨船が攻撃を受ける。
銃撃戦ありの派手なアクションもあり、しかも、なかなかに風刺もきいている。

環境問題としてのクジラ捕獲禁止が、実はクジラしか採れないという成分により、難病の我が子が助かる。
というパラドックスを含んでいることに気づいて、愕然とする。
その難病の子供を抱えるのがクリーンアースの過激な集団のトップであるというから、皮肉なことである。

思うに人間がいること自体が自然や環境にとって、悪であるという結論になるんじゃないかと思う。
人間がいること前提での、こそくな手段である、みみっちい努力というのは、宇宙規模に比べれば、はなくそみたいなもんじゃないかと思うのは私だけ?

これ、おかしく笑って、その通りとうなづきながら、マンガチックな流れにのっていける。
最高に最後まで退屈せずに読めるといううれしい展開だ。

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