目をあわさない人
ここに越してきて20数年。
近所のその家は、ちと風変わり。
おうちの雨戸を開けない。
別に誰に迷惑をかけるわけではないので、いいのだけれども。
そして、近所付き合いもあまりお好きではないらしい。
これも、別に迷惑があるわけでもないから、別にいいのだけれども。
ご主人は、毎日、犬の散歩をされている。
これも別に当たり前だし、どおつてことない。
でも、お外に出ると、どうしたって、向こうからこちら側に歩いてくるご主人にでくわすこともある。
それは、どんな数学の法則だって、さからえないほどの確率でやってくる。
しかも、目の前にいることがわかって、反比例の法則でもって、逆側に歩けるわけではない。
なので、当然、目の前に近づいてくる。
いつもは、それとなく、空の彼方にすむという雷さんはどこかいな?とか、空想上の人物でも探すふりをして、視線をはずしていた。
けどね。ここに住んで、20数年。
そんなに何かいな。
あれかいな。
それかいな。
ふと、反抗心が働いた私。
今回、しげしげとご主人様のお顔に自動焦点のごとく目をあて、至近距離に近づき、そして、すれちがうという所作が終わるまで、あくまで、じぃぃぃぃっっっと見つめ続けた。
にもかかわらず、相手の視線は、ワンコと同じ視線。
下に何か落ちてる?
石ころにけつまずく?
電柱が気になる?
下にさがった視線は、上に戻らず。
そっか。存在が空気になるんだなあ。
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