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東京新大橋雨中図(杉本章子)

第100回直木賞受賞らしい。
お江戸から明治に移り変わる世相というものに興味がわいて読んでみた。
まげをおとして断髪になるということ。
結婚も離婚も女性から言い出せるようになったということ。
初めて蒸気機関車が通ったときの雰囲気。
仕事の様変わり。
はては苦界の様子など。

主人公小林清親を通して、武家から市井になるまで。
なかなかのものだ。
この時代の人は、二度の人生に値するくらいの波瀾万丈、あすのことが予想もつかないことだらけ、実に面白い。

人間の機微にあふれたところも時代ものを彷彿とさせるし、順調ではないが、なんとか、行く末がころがっていくところも読み応えがある。
なにより、無骨者の主人公であるとこがいい。
ただのハンサム優男、つまり今いう草食男子ばかりにあり得ない強烈な男臭さが魅力的だ。
もっとも、こういうのを男尊女卑の差別と言われるものでもあるが。

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