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オリンピックの身代金(奥田英朗)

時は、昭和39年。
東京オリンピックの年。
当時を騒がせた爆弾魔、草加次郎をモチーフにあしらっている。
時代を反映するプロレタリアの嵐吹く東京大学の闘争ともあいまって、すべてがしてやったりで進んでいく。
ふつうのひ弱な学生である島崎国男がなぜ、大それた犯罪に身を染めるようになったのか!
どこか視点がぶれてるような気もするが、人間というのは、そもそも、自分というものにたいして、ここだというものを持っておきたいのだろう。
自分では、立派な信念に基づいて行動しているように思いたい。
相反する立場の端から見れば、なるほど、その行動は間違いないように思う。
日本をよく見せようとするオリンピックの開催のおかげで、名もない末端市民にしわ寄せがくる。
どうかしたら、その突き上げで命を失うものも出てくる。
名もない人々の代弁者として、一泡吹かせるためにもくろんだオリンピック開催の爆弾予告。
警察は、日本という国の威信をかけて、どんな非合法的手段を講じても、守らなくてはならない。

迷宮入りした草加次郎事件。
その裏には物語が隠れている。
とも思わせるこの本。

オリンピックは果たして開催されるか否か、ラストストーリーは見逃せない!

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