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海辺のカフカ(村上春樹)

ふつう、目に見える状況だけで、考えれば、単純な事柄に見える。
少年は、家出をし、たまたま、図書館の人に助けられて、そこで何日か過ごす。
その間に父親が亡くなり、一段落して、うちに戻る。
たった、それだけのことが、少年が体験したことは、ものすごく、違ってた。
もっとも、そうはいっても、現実に即してしまえば、ほとんど、ありえない世界でもある。
しかし、人の体験することというものは、果たして、目に見えることだけだろうか。
内面的な事柄をいろんな状況に照らし合わせていくと、どのようなことも可能だろう。
それがだめな人もいるかもしれないが、そうでない人にとっては、かなり、魅力的な本である。
やはり、それを村上ワールドと定義つけてもいいのか・・も。
根底にあるのは、違う本でも表されていて一貫している。
それを深く共感できるのであれば。
そして、それが嫌悪感なく受け入れできるのであれば。

あるいは、15歳という年齢は、大人になりきれる前の初めての経験という意味からでも、新鮮でもあり、躊躇なく、危ないことでも、とびこめるという利点がある。
成長途上のまぶしいきらめきがある。

登場人物も実は、少し、おかしい人ばかりである。
が、所詮、人間というのは、実直無害、100パーセント完璧というのは、ない。
から、おかしいところを自分で、認め、しかも、それを前面に出してしまえるということは、生きるということに前向きになれる。
そんな励ましみたいなものも感じられたりする。
まっすぐに進んでいける生き方というのは、とても、幸せなことである。
これはいけないことではないだろうかと自分を戒めて、とりあえず、安直な道を選ぶと、過去に何か残してしまうものがある。
きれいに昇華してしまっていけば、寿命がつきた時も何も残らない。

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