念願だった神戸に行った。博多から新幹線。N700系。あひるのくちばしをもつ白い車体でカッコいい。座席は、5人掛けで。平日の朝のせいかガラガラで、横も後ろも誰もいない。窓の外は、この季節とは思えない青空に白い雲。窓の外を見ていると、空も雲もあまり動かないのに、ビルや塔やお店や高架の道路が早回しのフイルムのように流れて流れて、デジカメの画面を通すとなお、その雰囲気が満喫できる。でも、新幹線は、すぐにトンネルをお通りになる。あ、あ、というコマ送りで地中ばかり。景色を見るつもりが自分の顔ばかりを見ているはめになる。地上を走ってる割合は、半分以下ではないだろうか。新幹線というよりも、高速地下鉄線のよう。
次は、新神戸。・・・というアナウンス。まだ、トンネルの中なんですが。どんどんスピードを緩めているのがわかる。もしかして、神戸は地下都市になったのか?と、一抹の不安の中、ドアにいく。直前、外の日光があらわれて、安心する。にしても、新神戸。あまりに人が少ない。駅の向こうに広がる景色は、タクシー乗り場と、バス乗り場。似たような広がりがあり、驚きは、ない。
JR三宮中央口で、みんなで待ち合わせ。何年かぶりに会うのだけど、みなさま、ちっともお変わりない。まあ、みんな、間違いなく中年の仲間入りをしてるわけだから、小さな変化は、生じていると思うが。髪がなんとかとか、皺がちょっととか、目尻がさがってだとか・・・。
お昼は元は教会だというフロインドリープに行った。
高い天井があり、奥の壁あたりが、ひな壇になってたりで、とにかく、中は、ダダッ広い。
そこで、皆さんの空白を埋めるべくのしゃべりで旧交を暖めた。
どうでもいいおしゃべりなんだけど、同年代のせいか、きりがないほどだった。何をお話したかは覚えてないけど、気持ちがいいほど、楽しい。
夕方、レンタカーを借りて、海辺のレストランにいく。
海辺だけあって、あいてるベンチは、すべて、カップルばかり。おばちゃん集団が座れるとこは、なかなか見つからない。それでも、根性だけは負けない私たち。大家族ようの食卓テーブルがある、木の長椅子に座ることができた。そこで、コーヒーも飲まなければ、何も食わず、港の灯りがちらつくまで、しゃべりたおした。クルーズ船が出航するのを見送り、クルーズ船の装飾電気が明々とついて到着したのを見届け、クルーズ船の客が記念写真を撮るのを眺めて、腰をあげた。
駐車場に戻ると、ここでお食事をしたら、駐車場がとんとんになると気がついた私たちは、また、食堂街に戻る。大阪ならお好み焼きだろう!とお好み焼きにした。味は、んー、変わらんような気がする。こっちと。
で、お好み焼き屋さんで支払いをする時、すかさず、駐車券をだすと、ここは、提携してませんときっぱり!にゃんですって!そんなばかな!って、おこっても、あとのまつり。だって、ここの駐車場、30分200円だったか、すごいお値段。ものすごい高級お好み焼きになってしまった。
車は、便利だね。六甲に行く。六甲展望台は、9時に駐車場がしまる。それまでに着かないといけない。それと、六甲は、暴走族さんのメッカとかで、その時間ぐらいまでがタイムリミットらしい。
で、山なので当たり前なんだけど、どんどん山道をのぼっていく。そこになぜかマンションがたくさんある。ここに人が住んでるということは、今、一緒にあがってるこのほかの車は、皆さん、帰宅のお方たち。時々、耳がきーんとなるのをみると、相当、高いところに上がってきてるんだろう。ぐるぐる回ってやっと、目指す駐車場に8時48分に着く。9時にしまるなら、たったの10分少々。かなり険しい。でも、だいじょうぶ。駐車場は、しまるけど、出るのは自動で遮断機があがるとのこと。
展望台に行くと、そこは、銀河鉄道、宮沢賢治の世界。しかも、昼間は、真夏だったのに、寒い。トレーナーの分厚いのを着てもいいくらい。それにともなって、なんだか、靄がひどくなってきたらしくて、かすんでいる。幻想的。なのは、よかったけど、おかげで、くっきりみえるはずの、淡路島やら四国やらが見えない。それでも、こんなにたくさん、灯りがあるので、香港の100万ドルの夜景に負けないけど、遠くまで見えなかったから、98万円の夜景くらいにはなってるだろうよ。
夜中の二時までに返せばいいのだ。レンタカー。
次は、明石に行った。淡路島に架かる橋。明石大橋。
余裕があれば、渡って、淡路島に行きたかったところだが、こんな夜中におばちゃんたちがぞろぞろ夜遊びは、いただけないだろう・・・。
なので、眺めるだけで、満足する。
よく見えるポイント。大阪人がいる強みで、穴場、つぶれたお店のうらの河川敷に行く。大蔵海岸大蔵なぎさ橋あたり。ここは、ご多分に漏れず、カップルさんの好む暗がりで、ちょっと、躊躇する。
左に明石大橋。右に上弦のお月様。真ん前に灯台。右に左にいきかう、船の数々。時間の流れなど気にせずに過ごせる貴重な眺め。それはそれは、今まで見た景色の中でもナンバーワンに数えられるほどだ。この日の月とこの日の橋と、この日の海は。一度こっきりしかない人生と同じで、かぐや姫も納得するシチュエーションだったと思う。
月が沈むまで相当時間過ごした。なんてたって、明石大橋のライトアップの消灯時間11時までいたのだ。白から青に変わるのも見たし。お月様が照らした黄色のあかりで海に道ができて、なんとも絵になる景色であった。
すぐに帰りたくない私たちは、協議の末、ゲゴの運転手さんには気の毒だったけど、コンビニで酒盛り食料を調達し、夜の大阪ドライブとしゃれこんだ。半分眠りかぶりながらの道中だった。が、高速から眺める大阪の街もそれなりにきれいで、満足した。なんでも、東京の山手線みたいにぐるぐるまわる環状線というのがあるそうだ。そこを通天閣を右に左にしながらの徘徊もまたおつなものだった。
さすがに、真夜中1時過ぎ、ホテルに着くとバタンキュー。
にはならないところがワタクシ。ホテルのサービス、アイスクリームをいただいて、お部屋に向かう。部屋は、ひとりづつとっている。そう・・・。うふふ。一度やってみたかったアレ。ベッドの上で、豪快に、全部脱ぐと。真っ裸で、バスルーム。シャワー浴び放題・・・。そのまま、また、お部屋に戻って、真っ裸でアイスクリームを食べる。実は、よい子の習慣が邪魔して、ナイトウエアを身につけて、やすんだんだけど、やっぱり、裸で寝ればよかった♪(夜中に裸でベッドから転げ落ちたら、悲惨だ)
翌日。
朝は、遅めにした。9時にホテルのバイキング朝食。
バイキングは、食べ過ぎるので、よくない。最近は、轍をふまえて、和食に徹してる。パンに卵にハムの朝食にすると、昼抜きでもいいぐらいにおなかが重くなるので。でも、欲かくならば、おかず類は、ひと口づつでも、食したい。ホテルだけあって、いろんなものがある。ので、けれども、バイキングで一番ありがたいことは、和食にしてても、あとで、コーヒーが飲めることかな。あと、ちょっと甘いもの系があれば、もっとうれしいが。
おなかが満足したところで、この日は、シティループバスで、北野異人館巡りをする。
途中、バスの中から、市役所の真ん中が地震で落っこちて、隣に鉛筆のようなビルに生まれ変わったのやら、花時計を見る。シティループバスは、観光用に作られているので、キレーなオネーサンがガイドをしてくれるので、うれしい。ずっと乗っていたら、また、元のところに帰ってくるので、歩くのがいやなら、一日中乗ってれば、(オネーサンにはいやがられる!)らくちん観光できそうだ♪(しないけど)西洋館は、長崎で腐るほど見たがここもいろんな外観があって、すごく楽しい。が、この坂はなんとかならんのか。あと、500メーターは、急な坂含む500メートル。とんでもない。移動するたびに息が上がる。全部入ったところで、趣味的にどうでもいい私たちは、ただで入れるラインの館だけ満喫した。どこも阪神大震災で崩れているとこが多いようで、そのような資料が写真といっしょに展示されてあった。ほんとに、神戸の街は、きれいだ。きれいというのも、建物がすべて新しいという、うつくしさ。今でも、あいてる隙間はビルのラッシュで工事中。震災後、10年の間の移り変わりは、すごいものだと思う。
瞬く間に昼は、やってくる。このクソあつさだと、ビールだろう!地元人のいる強み。彼女の案内で行ったのは、一階がスタバの二階。トリニティ。とても、こじゃれたレストランがあるとは思えないビル。自動ドアをくぐると、そこは、かなりお洒落な空間。天井はむき出しでそっけないのに、いすやテーブルは、一角一角で形を違えている。たたみならぬコピーの毛皮様がひかれた低いいすのあるはだしであがる座卓。窓際にはスツールタイプでみんなまどぎわ向けに座る。真ん中は、人数で大きくも小さくもなるテーブル。材質は、木ではなくて、スチール系。夏?にはうれしい冷たい素材。そんなこんなで、メニューを頼み、真ん中にランチセットを配してみんなでつまむ。案外、食が細くなった私たちにはぴったりの方式。なんと、完食。ちなみにここのお薦めランチ。蒸篭三段の中に、ごはん、メインメニュー、サラダが入ってる。あと、好みで何品か、追加した。よく飲み、よく食べ、よくしゃべり・・・・。(何をか言わんや)
次に向かったのは、南京町。中華街。すぐに食べられる小ぶりの肉まんやら、見たことのない食物が所狭しと並んでいる。皆さん、そのまま手にもって食べていらっしゃる。そして、どうやら、この真ん中の広場がここのメインのようで、神輿の派手派手なやつが真ん中に鎮座している。なんでも、老祥記という老舗の肉まんは、今は昔、おいしくなくなったのだそうだ。しもた。30年前に生まれとくんだった!これだけ見れば、満足とばかりに、そこをあとにする。ここの光景は、宮崎駿の食い過ぎて豚さんになったあの映像がちらついて・・コワカッタ♪
とにかく、歩かなくちゃ。商店街を散策。おみやげも買わなくちゃ。お菓子店を横目に、歩いていると、神戸は、あちこちがスイートのお店だらけ。誘惑に負けそうになるのをこらえ先へと歩く。だけど、三時の鐘が聞こえたら、やっばり、ケーキ屋さんの誘惑に屈服してしまう。ここが割と有名でという一言で、入ったお店は、パティスリー グレゴリー・コレ 。一度聞いてもすぐ忘れる名前の店。名前も長いが、ケーキもお高い。一個、600円なりのケーキって・・・。それにケーキセットもないなんて。とはいっても、小心者の私たちは、ぴたりと座れば、もう、そこから動けん。ということで、またまた、みんなで三個のケーキと、パフェと、それぞれにコーヒー。こういう時、便利やわ。恥と外聞という単語がうすれつつ年代は、何も気にならない。どころか、おいしいものがいろんな種類食べられると、前向き思考である。
だいたい、もう、話すことないよねーと、いいつつも、この関係はなんなのだ。今までに一度しか会ったことがないのに、これだけ話題があるというのも恐ろしい。人の共有の仕方は、空間というよりも、時間という概念なのかもしれん。
ひとりは、神戸空港から東京に帰る。
ので、みんなでお見送りしようということになった。三宮にもどって、モノレールに乗る。いやー、ほんとに、神戸は交通機関が多いわ。ちょうど、ラッシュの時期なのか、人がたてつづけに乗ってくる。一体みんなどこに帰っていくんだろう?って、そこここにあるマンションなんだろうな。
空港は、海の中にあって、ちっちゃい。見渡せるほど。そこから、彼女が乗った飛行機を見送る。飛行機は飛行場をぐるりと、爆音をひびかせながら、あちらの滑走路まで向かい、せえのおー!で、スタート。加速して、空に浮き上がる。いつ見ても、不思議。あの重たいかたまりが雲まで飛び上がるんだから、人間はなんて大それたことをしてるんだか。
飛行機を見送ってたら、昨日の明石大橋に夕日が沈みかけてた。燃えるようなオレンジ色がちょっとづつ沈んでいく。飛行場からは、見渡す限り湾が広がり、これを見れただけでも、もうけもの。考えようによっては、ありきたりの観光をするよりも、ここのほうが見応えがある。
いよいよ、夜がやってきて、お別れの時間。
私は、逆回りで、福岡に向かう。
これを旅行というか、旅というか、迷うところだけれども、見る、楽しむ、ふれあう、三拍子揃ったことができたこと、感謝いっぱい。と、旅の仲間がいるということも、倍増した理由だと思う。
ありがとう。神戸。
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