旅行・地域

雲仙

実は、雲仙はまだ行ったことがなかった。
母とその兄弟たちとの旅行にひょんなことからお供することになった。
母の兄弟は全部で8人。
一人をのぞいて、大変仲がいい。
このたび、母の母が亡くなっての月命日の3日の日に、みんなで、雲仙に行くことになった。
私自体は、別に強いて参加することはないとは思ったものの、母の杖がわりに参加することにした。
というのも、先日、田舎に帰る折、田舎の最寄りの駅について、タクシーに乗ったときのこと。
自分の実家がわからずに、地理に不案内のタクシーの運転手さんとともに、ずっと、先まで行ってしまって、なおかつ、何度もそのあたりをうろうろしたそうな。
そんなわけで、行き帰りのご案内係と相成ったとさ。

目指すは、雲仙。
普賢岳。
なんでも、寝ている人の顔の形をしてるそうだ。
そういわれて見れば、そう、見えないこともない。
平成3年に火砕流被害があった当時の埋まった家の展示があった。
田舎の純和風の立派な家が屋根まで土に埋もれている。
水害も火事も怖いけれども、こんな形の災害もたまらん。
いわば、生き埋めにもなりかねないのだから。
その恐怖たるや、比じゃないだろう。
おばちゃんたちは、しょもないことが気に掛かる。
冷蔵庫の中身も一緒に埋もれてる?
洋服も?
金塊も?
この家の人は、ここに展示されてるって、どういう気持ちかね?
表札はなさそうだから、田中さんちかどうかわからないけどね。

ひとつ、観光すれば、なんだか、雲仙を全部みた気になる。
けれど、一番びっくりしたのはこれ。
道ばたに洋風の建物が見えてきて、なんだかあやしい蝋人形が表に飾ってあって、異様に目立つ。
あれ、何?あれ何?
どんどん近づいていく。
なんか、見たことあるもの?
と、目の前に
yes,we can
そう、あれはオバマ大統領!
だって、ここは小浜市。

田舎の景色が広がるなかに、ひときわ目立つものがある。
段々畑。それも、土手は、石垣。
どんなに小さくても、きれいに石垣が積んである。
西日があたって、オレンジ色に連なっていく段々畑は、畑というよりも、芸術のよう。
日本人って、やっぱり器用。
よくこんなとこまで、段々畑にするよね。

平地からどんどん山道をあがっていく。
そんなに寒いわけではないのに、山道に白いものが見えてくる。
なんだ、これ。
にわかに雪とは信じられずに、確認するが、雪しか思い浮かばない。

着いたところは、温泉街だった。
大きいのも小さいのもずらりと並ぶホテル。
そのなかでも、ひときわ立派なのが私たちが泊まるホテル。

入り口を入るや否や、目についたのは、エコバック。
これ売りもんかね?と、愛すべきおばちゃん。
さようでございますと、受付のねえちゃん。
1050円で、こんなに大きいものは、ないよね。と、おばさま。
売店に行かれましたら、まだ、たくさんございますと、受付嬢。
んじゃ・・・。
って、まだ、部屋にも行ってないし。

お部屋に案内されて、ベリーグッド。
眺めは抜群によろしい。
見渡す限りの海に夕日が落ちていく。
ご飯もいいけど、先にお風呂に行こう。
展望風呂も見晴らし抜群。
残念なるかな。日がおちて真っ黒け。
でも、バラ風呂にはびっくり。
しばし、女王様気分。

夕飯はご一行様用の個室。
お殿様御膳に何やら、たっぷりの料理。
食べたことなかったくわいやら、長崎名物。具雑煮に舌づつみうつ。

お部屋に帰って、まだまだ夜はながい。
ながい夜には、カラオケ。
みんなで、ホテルのカラオケルームへ。
暖房が入ってなかったお部屋でぶるぶる。
寒さ対策でどんどん歌う。
知らない演歌ばかりで、おじさまおばさまのとにかく声のでかいのに驚かされる。
私のかぼそい声では、とてもたちうちできん。
勝つつもりもないが。

楽しかった一日は終わり、就寝時間。
というよゐこの決まりは、さておいて。
うわさに四方山話は、女性の定番。得意中の得意。
とうとう、シンデレラも真っ青の一時をまわってしまった。

朝は、誰かの目覚ましで6時に叩き起こされた。
仕方なく、もうひとつのお風呂。地下の陶器風呂に向かう。
プールのようなだだっひろい風呂。
こりゃ、泳げるね。

翌日のメインイベントは、かき小屋。
生かきを炭火で焼いて食べる。
これもまた、生まれて初めて食べる。
かきがバチーンとはじけるたびに黄色い声でキャーキャーワーワー。
自分の年を考えろよと自分につっこみたい気分はさておいて。
かきの殻をあけるのも難しく、自然無口になる。
とにかく、炭火焼き。
おいしいよ。
けど、洋服は、よごれてもいいものじゃないと、灰かぶり姫とあいなる。

これで終わりかと思ったら、もひとつ、有名な所によった。
諫早湾干拓地。
見渡す限り、海ばかりの真ん中に一本道がある。
そこに水がじゃんじゃんでてる。
これが有名なその設備なんだろう。
海辺には、セガモが死ぬほどたくさんいる。
まるで、ありの大軍団のように、あちらこちらと、集団で移動中。
これをどうして、埋め立てしないといけないか?
え、埋め立て?干拓?どう違うの?
よくわからないけど、今のままで不都合がないなら、そのままにしておくほうがいいんじゃないの。
ましてや、どこぞのダム工事は、撤回されただのと頻繁にニュースになってる時節に何もいけいけゴーゴーする必要もないと思う。
きれいなものは、きれいなままにしておくのが、エコってもんじゃない。

皆さんと別れて、母と、タクシーにのって、家路にむかう。
もう少しで、うちという最寄りの電車の駅に着いたとたん、非情の雨がふりだす。
人生というのは、こんなもん・・・・。

今日は楽しかったとひとりごと。
Yes we canも埋もれた家もバラ風呂もそりゃー、驚いたりしたけど、一番、びっくりしたのは。
母の兄弟8人。
5人がAB型で、あとの皆さんは、B型。
A型の私にはとても考えられない奔放ぶり。
でも、同じ血が流れてるんだな。これが。

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雷山

雷山に千如寺というところがある。
お寺は大変由緒正しい。
1000年も前のこと、成務天皇の頃、清賀上人が開創されたといわれている。
ここの目玉は、樹齢400年の大楓。
秋になると真っ赤に紅葉して、すばらしいのだそうだ。
そんな大楓を楽しみに門をくぐった。
ああ、これこれ。
と、そちらを見ると見事に葉が落ちていた。
真っ赤なのは、土の方。
枝ぶりだけを堪能して、紅葉狩りは、地上にて。失礼。
しかし、紅葉は、はらはらと舞い落ちる枯れ葉こそ風情があるものだ。
まるで私たちのよう♪
散り際の美なのね。

そんな大楓を後にお寺の中にはいる。
山のお寺なので、とにかく、階段が多い。
ひょうたん池ののある庭園を眺めると、大悲王院はまっすぐな階段をあがったところ。
よっこらしょとのぼる。
のぼりつめると、そこに観音様が奉ってある場所。
どこからか、お坊さんがあらわれた。
さすが、お坊さん、神出鬼没である。
きょうは、庭園の風情もそれから大楓も一番いいときであるとユーモアたっぷりの話術にのせられた。
これも、皆様が善男善女だからとか。
ほんとか。
由緒正しいお寺の説明が終わると、お待ちかねの観音様。
案内されて、中にはいると、薄暗い。
線香のけむりも影響して、そこかしこは、うすぼんやり。
まんなかに、たくさんのきんきらの器がのってる。
なんだかわからないけど、お香をたくのだろうか。
いよいよ、観音様の扉が開けられた。
お堂のなかのそこだけ天井をぶちぬいたような観音様。
あまりの大きさに観客からどよめきが!
おおーっ!でかい。
顔がでかい。
その頭にたくさんの頭が生えている。
観音様の頭にまた、ちいさい観音様。
思わず、親亀の背中に子亀をのせて・・・♪と、不謹慎なことが頭をよぎる。
全部木でできているという説明に再び、観客からどよめきが・・・。
線香も1000年の歴史をへて、なお、朽ちることがないように、天然のものを使ったものなんだそうだ。

とにかく、この雷山。
名前のとおり、山の上にあるので、不都合が多い。
雷山という名前があらわすように、夏場は、雷が多いのだそうだ。
それに、湿気も多い。
なので、くさるものは、おみやげにできないとか。
再び、線香の話にもどると。
線香は、化学物質のまじらない天然線香を使用している。
なぜかというと、やはり、天然ものは、木の材質をいためないのだとか。
なるほど。道理で、顔がすすけている。
というか、くろずんでいる。
思わず、鉄?と思うくらい、黒い。
それも、歴史を感じていいといえないこともない。

観音様に感動したら、歴史にも感動しなくては。
伊都国歴史博物館は、卑弥呼伝説にも觝触する。
実物大の平原王墓など。
どこにでも、こういう博物館はあるし、土器でもかめでも、おたふくでも、見飽きた感もある。
土器そっちのけで、しゃべりつづけてたせいか、何も覚えていない。
もちろん、何をしゃべっていたかも覚えていない。

そんなことより、おなかがすいた。
次の場所、おふろとごはんが待ち遠しい。
伊都の湯、元気クラブは、お達者クラブとまた違う。
けれども、なんだか団体さんが多くて、風呂場もおおにぎわい。
ロッカーでもひしめきあい、露天風呂でもひしめきあい。
小さくなって入っていた。
ということはない。
みんなではいればこわくないという大声、地声で他を圧倒した。
たぶん。

ごはんはとてもおいしかった。
お刺身もちまちまでてくるおかずの数々も。
いつまでも出続けるので、どこが終わりかわからない。
けど、てんぷらだけはおしかった。
天つゆだけあって、てんぷらがでてこない。
ごていねいに菜種油からしぼってるいるのだろう。
そのせいか、でてきたとき、半分は冷たかった。

食後のデザートまでつきで、もりだくさんの内容でおなかは、ふくれすぎ。
とうとう、スカートのホックがとまらなくなってしまった。

おなかごなしに、よるところといえば、地元の物産店。
テレビでも何度かお目にかかってるここは、体育館くらいはある。
野菜だけではなく、花やおかしや魚や肉。売ってないものがないくらい。
誰かがこれ、おいしいといえば、手が伸び、これが珍しいといえば、手が伸び、これが安いといえば手が伸び。
でも、たしかにもう一度訪れたいとこだ。
しかし、ひとりでは二度とこれないだろう。

忘れてたけど、糸島といえば、九大の伊都キャンパス。
なんと、ここにいった。
といっても、素通りしただけだけど、とりあえず門をくぐった。
すごいとこだ。
なんにもない。
ほんとに、なにもない。
今から、そこらじゅうにいろんなものができるのだろうけど。
よくこんな、田舎に建てたものだ。
好きなだけ、拡張できるのはありがたいし、学生の皆さんが都会の風に吹かれてすれないでいられるというメリットがあるのもわかる。
静かに勉強にいそしめるというのもわかる。
しかし、交通がどうよ。
不便すぎん?
熱くならんでも、私に関わることは、一生ないんだけどね。

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相島

Ai4 ご近所なのに、一度も踏み入れてないなんて、罪なことだわ。
このたび、相島めぐりの行事に参加することができた。
ほんのそばに見える島なのに、歩いていけない。
島とはなんと不便なことよ。

船着き場から船に乗る。
たったの15分程度で着く。

乗り込もうとする私たちの横に救急車が到着。
えっと、私たち、ビョーキ持ちはいません。
と、船着き場を見ると、マイ漁船に横たわる屈強な中年男。
島には、救急施設がないのね。
それで、漁船でつれてこられて、救急車に運び込まれるみたい。
島の生活をかいま見たような気がした。
その出来事をあとに、船に乗る。

船は、揺れる。
横揺れ。縦揺れ。ななめ揺れ。
これぐらいたいした揺れじゃないとオモウ。
けど、上にいって、下に落ち込んだ瞬間のこれは、体中の水分が行き場を失って混乱した気持ち悪さ。
とりあえず、しゃべりつづけた口のおかげで、酔わずにすんだ。

船からおりると、暑い。
秋というのは、こんな暑かったか・・・。
肌がじりじりじりと焼けつく。
日傘をさしてなお、暑い。

初めての島。
平日なのに、釣り人だらけ。
みんな一様に長いさおにクーラーバック。お定まりの釣りキチスタイル。
その中で違和感めだつ中年軍団。もしくは、おばちゃん軍団。
島に詳しい案内人のあとをぞろぞろとついていく。
港のところに食堂がひとつ。購買店がひとつ。
ここをすぎると、トイレもない。ジュースの自動販売機もない。
だすものはだし、補給するものは、ここですべしとのご達し。

まず、港沿いを歩いていくと、昔の堤防のあとの石が連なる。
今は、埋め立てをして、小学校の運動場も広がったらしい。

めざとい私たちは、真珠の文字に目がひかれ、予定のない見学を責任者にお願いする。
ミキモトという会社が海のきれいさに目をつけて、養殖にとりくんでいるらしい。
とにかく、三年五年という長きに渡り、育つ真珠。
早い安いいいものという時代のニーズにあってるのかあってないのか。
それでも、きれいもの好きにはうれしい見学会である。
といっても、今回は、海につかってたこんぶだらけの中のあこや貝の姿を拝見しただけで・・・。ちと、物足りない・・。が。

そこをすぎて、坂をあがっていくと、海がひらけてた。
要は島をぐるりと歩いてるだけなんだけど。
なんだか、人の入らない道は、草ぼうぼうも人の背丈なんてもんじゃなく、やぶのようにしこっている。
ここがなんたらという由緒のある神社といわれても、整備されてない石の階段はすごいことになってる。
勇気ある、根性ものの、おばちゃんは、のぼっていったりしてたが。
お上品な私には、とてもムリムリ♪ん?

Ai5 積み石古墳群というレッキとした歴史的発掘現場にも足をのばす。
けど、海岸沿いに広がる石だらけの景色に、ど・どこが・・・?
よくよく見ると、赤いくいに四角い穴があいていて、そこに死体をおいてたそうな。
かなり、すごい。
それが見えなくなるくらい遠くまでつづいてるそうだから。
昔の人は、何考えてたのか・・・・。
それをまた、きちんと、形にしてることも、ご苦労半面、えらいこっちゃ!

島の裏側まで歩いていくと、道から崖側に登り口があり、ぎょえーっという絶壁にいきつく。
穴観音といって、絶壁から、崖下におりていくと、観音様を祀ってあるらしい。
そこまでいけない人のために途中にほこらがある。
松の木や他の樹木が風で、横になびいている。
面白い。
ここに暮らすと、人間もびろーんと、体がゆがむとか。は、ないか。
とんびがかなり間近にせまってくる。
ここは、人間のほうが珍しいのかもしれん。

とにかく歩いた。
だって、車が通らないんだもん。
おまけに人も通らない。
すれちがう人もいない。
ひとりで、歩くとかなりこわい。

唯一、でかいカメラを抱えた自称鳥をとってますという二人連れに遭遇。
なんでも、野生のかわった鳥がいるとか。
見せてもらったけど、んー、あんまりわからんかった。
すずめのでかいやつというか・・。

波止場にもどると、ねこにゃんがいっぱい。
それも、毛並みがいい。
まっしろふわふわ。
黒いけど、目がくるり。
やたら、かわいい。
ほんとに、雑種?
というくらいの美猫そろい。
なんでも、人の数より、猫の数が多いらしい。
やろね。
釣り人がいるし。
Neko1 えさには困らないし。
人なつこさは天下一品。
うにゃーんと、足にすりよってくる。

そんなこんなで、全島制覇。
7キロくらい歩いたらしいけど。

島って、この時代の忘れ物みたいに時間のとまった感じがする。
不思議だ。

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田川市石炭・歴史博物館

Den4

ここにも行った。
広大な敷地にある施設は、炭坑節で知られる二本煙突、蒸気機関車まで展示されている。
あまりの広さにこれがこんなとこにあるなんて、もったいない!
と、強烈に思った。
もっともっと、喧伝して、炭坑という日本有数の歴史的物をみんなに知ってもらってもいいんじゃないだろか。
よかったら、ヤフードームのどまんなかでも・・・・♪
今は、ただの田舎にすぎないここの地も当時は、羽振りのよい町だった。
そして、炭坑王といわれる、三大金持ち、その他、名も知られず、炭坑に従事して、生きて死んでいった人々。
そのあたりの生き様が直接目と耳で味わえる。

三大財閥といわれる人たちの業績も万金に値する。だろう。たぶん。
川筋気性と言われた豪快でものおじしない決断力に富む男たち。
今の若者になかなかないその剛毅さに、息をのむ。
炭鉱という現場の過酷さ、つらさ、生活。
ありのように働く末端の人たちの暮らしは、石川啄木の世界よりも厳しい。
我が暮らし楽にならざり、よりも、いつも死と隣り合わせの毎日は、酒でもあおっていなければやってられなかっただろう。
女性も例外ではなく、上半身裸の恥もそっけもない格好で穴倉で働いていた。
かのドラマ、おしんなど、お嬢様ドラマと、笑われるかもしれん。

そんな展示をまのあたりにしながら、外に向かうと、むかしなつかしい、長屋がある。窓から中をのぞくと、ぎょっ♪
おとーちゃんが飯食ってる!
マネキンが無口な顔して座ってるぞ。
ちゃぶ台には、当時の茶碗やら、おひつやら。
まさか、この人形、ちゃぶ台かえしは、せんやろねー。
玄関はいって、祖末な土間の台所では、ほおかぶりした、かーちゃんが、炊事にいそしんでいる。
これまた、無表情に無口に外を向いている。
たった、ひと間のへやに押し入れ。
トイレも風呂もない。ここに、家族がひしめている。
ああ、昔は、えらかった。
ひとりにひとへやなんぞ、大金持ちでもなけりゃ、望めん。
重なりあうようにふとんをしき、重なりあって、休んだんだろう。

人間、生まれる場所は、選べん。
生まれる時代も、また選べん。
博物館から出た自分たちは、我が幸せな境遇を喜ぶべき、麻生丸日本号、現代に帰還した。

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伊藤伝右衛門邸

Den8

予備知識もないまま、日帰り旅行先がそれだった。
あまりの大邸宅さに、驚いた。
玄関の屏風に目を細める間もなく、左手にある洋間。
畳敷きの広い廊下。
模様で、天井を高く見える方法。
運動会ができそうなひろいひろい畳の部屋。
広大な園庭が見渡せる二階の白連さんのおへや。
どこもかしこも始終目をきょろきょろしてなくちゃいけないほど。
炊事場の板張りの小学校の給食室を彷彿とさせるセメントの流しや、蔵にあった粘土でできたおひな様にも、どこもかしこも目を見張るものばかり。
板戸に描かれた絵もそれだけで、掛け軸のようなおもむきを持っている。
屋敷全体がこれだけの調度を備えていたとは、ほんとにお金持ちなんだろうなあ。
でも、ひと歩きするごとに、しんしんと冷える足下には、いくら、広くてもこの寒さは、耐えきれんと伝右衛門さんちの人間関係及ぶにつけ、白連さんの心もさぞや冷えたのだろうと思う。

庭の広さも尋常ではない。
築山あり。川あり。太鼓橋あり。あずまやあり。
樹木も高いの低いの紅葉したの。
よそにウォーキングしにいかなくても、ここの庭だけで、一時間は、過ごせそうな勢いである。

帰宅してから、よくよく伊藤伝右衛門を調べたら、なかなかの人物のようで、粗野ではあるが、実行力も肝の太さも備えた人物だったんだなあと白連さんには悪いが、またまた、見直したりもした。

世の中、庶民は、一年が一日のようにかわり映えのしない毎日ではあるが、こと、お金持ちになると、とことん、波乱に満ちた人生をおくっているのかと、逆に感嘆した。

なあんて、高尚なことを考えながら。
ほんとか?
庭を歩き回ってた私は、片隅にあるお茶所にすいすいと引き寄せられていく。
なになに。
お菓子つきコーヒー、一杯。200円。
クッキーかマカロンか、悩みに悩み。
二個入ってるマカロンに決める。
けど、このマカロン、かみきれん。
なんか、違うよな。口の中でとろけるのがマカロンなんじゃあ・・・。
おいしいコーヒーを飲み、お外でお庭を眺めてるふりをしながら、おしゃべりする幸せな瞬間。
おばちゃん族は、ここで、至福の時間を味わう。

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日帰り旅行

楽しみにしてた湯布院日帰り旅行。
朝9時集合して、夜までのわいわいがやがや。
女だらけのマイクロバスは、窓にひびがはいるほど。
静かになる瞬間は、一瞬も訪れず。
前や後ろの大爆笑は、どういうこっちゃ。
口だけは、しゃべるか、食べるか飲んでるかの大運動会。
まったく、女は、やめられん。
いつでもどこでも、口だけは、縦横無尽の柔軟さ。
途中のパーキングでも、いきかうおばちゃん軍団を横に、ほんと、おばちゃんは、元気やね、私たちやんか。

そうこうするうちに、現地についた。
やかましさにもめげずに黙々と運転に励んだ運転手さんの賜物だ。
早すぎたらしい。
一時間も。
そのあたりを徘徊しておいでということになった。
風が少し冷たい。
誰や、涼しいというのは、使い方間違ってるでしょが・・。
湯布院は観光の町。
自然のものも、そうだが、おもやげやさんも洗練されている。
ここで、見るとただのおみやげも、すてきに見えるのはなんでかいな。
最近は、湯布院と名前が入ってるだけのしょぼいものは、ない。
店が並ぶ界隈は、ありとあらゆる洗練されたアクセサリーやら、洒落た服などもある。
こんなとこまできて、何でショッピングに励まんでもと、思いながらもついつい、ここぞとばかりに、見てまわってしまった。
もちろん、試食も忘れてない。
名物そばまんじゅうに、佃煮に、なんたらケーキに、とりあえず、目についたものは、これも観光の一環とばかりに、口で観光することにしてる。
食い逃げじゃないよ。たぶん。
誰かが買ってると思う。

ホテルに帰ると、すっかり、お膳ができあがってる。
江戸時代のお殿様お膳がひとりづつ並ぶ。
向かい側の人との間があきすぎだろよ。と、仲居さんに訴える。
ここ、料理運ぶよ、あいてると言う。
あれ、おねーさん、どこの人。
モンゴル。
へぇー、かわいい顔して、モンゴルかって、ひとしきり、もてはやした。

しゃべって飲んで、食べて、腹もクチクなった頃、芸達者さん、登場。
我がサークルのアイドル、フラダンス踊り子さん。
なんと、衣装もちできていらっしゃる。
流し目もうっとりな踊りに目が釘付け。
うまいねー、衣装もいいよね♪と、なんか、わかったふうな批評家もものともせず、二曲、踊っていただく。
温泉センターなんかのどさまわりもできる実力で心底、うらやましかったりする。
芸は身をたすくの地をいってるかもしれん。

お待ちかねのビンゴケームは、なかなかあたらん。
読み上げても読みあげても、あがれんとこは、人生ににてる。
はずればかりのとこもか。
とはいっても、これは、絶対あがれるようにできてる。
心優しい主催者のおかげで。
私ももれなく、あたり。
すてきなネックレスゲット。
会員さんが作られたものだけど、玄人はだし。
それぞれが、その人に見合ったものがあたり、すごいねーと口々にほめたたえる。

湯布院といえば、温泉。
風呂につからなきゃ、何しにきたか、わからん。
ということで、みんなで裸のおつきあい。
同性同士なので、いやでもおうでも、ひとつ風呂。
ひぇー、前も後ろもすっぽんぽん。
見てはいけない禁断のハダカ。
やっぱ、見てしもた。
今夜は、寝られんわい。

食べて飲んで温泉につかり、疲れてると思いきや、まだまだ、燃えたりん。
金鱗湖で紅葉をめでては、あっさり終わる。
再び、買い物に励む。
同じおばさん同士の血が騒ぐ。
でもやっぱり、帰りのバスでも、しゃべりたりん。
いったい、いつ、静かになるのか、誰にも予測できなかったのである。

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初神戸


念願だった神戸に行った。博多から新幹線。N700系。あひるのくちばしをもつ白い車体でカッコいい。座席は、5人掛けで。平日の朝のせいかガラガラで、横も後ろも誰もいない。窓の外は、この季節とは思えない青空に白い雲。窓の外を見ていると、空も雲もあまり動かないのに、ビルや塔やお店や高架の道路が早回しのフイルムのように流れて流れて、デジカメの画面を通すとなお、その雰囲気が満喫できる。でも、新幹線は、すぐにトンネルをお通りになる。あ、あ、というコマ送りで地中ばかり。景色を見るつもりが自分の顔ばかりを見ているはめになる。地上を走ってる割合は、半分以下ではないだろうか。新幹線というよりも、高速地下鉄線のよう。

次は、新神戸。・・・というアナウンス。まだ、トンネルの中なんですが。どんどんスピードを緩めているのがわかる。もしかして、神戸は地下都市になったのか?と、一抹の不安の中、ドアにいく。直前、外の日光があらわれて、安心する。にしても、新神戸。あまりに人が少ない。駅の向こうに広がる景色は、タクシー乗り場と、バス乗り場。似たような広がりがあり、驚きは、ない。

JR三宮中央口で、みんなで待ち合わせ。何年かぶりに会うのだけど、みなさま、ちっともお変わりない。まあ、みんな、間違いなく中年の仲間入りをしてるわけだから、小さな変化は、生じていると思うが。髪がなんとかとか、皺がちょっととか、目尻がさがってだとか・・・。

お昼は元は教会だというフロインドリープに行った。
高い天井があり、奥の壁あたりが、ひな壇になってたりで、とにかく、中は、ダダッ広い。
そこで、皆さんの空白を埋めるべくのしゃべりで旧交を暖めた。
どうでもいいおしゃべりなんだけど、同年代のせいか、きりがないほどだった。何をお話したかは覚えてないけど、気持ちがいいほど、楽しい。

夕方、レンタカーを借りて、海辺のレストランにいく。
海辺だけあって、あいてるベンチは、すべて、カップルばかり。おばちゃん集団が座れるとこは、なかなか見つからない。それでも、根性だけは負けない私たち。大家族ようの食卓テーブルがある、木の長椅子に座ることができた。そこで、コーヒーも飲まなければ、何も食わず、港の灯りがちらつくまで、しゃべりたおした。クルーズ船が出航するのを見送り、クルーズ船の装飾電気が明々とついて到着したのを見届け、クルーズ船の客が記念写真を撮るのを眺めて、腰をあげた。
駐車場に戻ると、ここでお食事をしたら、駐車場がとんとんになると気がついた私たちは、また、食堂街に戻る。大阪ならお好み焼きだろう!とお好み焼きにした。味は、んー、変わらんような気がする。こっちと。
で、お好み焼き屋さんで支払いをする時、すかさず、駐車券をだすと、ここは、提携してませんときっぱり!にゃんですって!そんなばかな!って、おこっても、あとのまつり。だって、ここの駐車場、30分200円だったか、すごいお値段。ものすごい高級お好み焼きになってしまった。

車は、便利だね。六甲に行く。六甲展望台は、9時に駐車場がしまる。それまでに着かないといけない。それと、六甲は、暴走族さんのメッカとかで、その時間ぐらいまでがタイムリミットらしい。
で、山なので当たり前なんだけど、どんどん山道をのぼっていく。そこになぜかマンションがたくさんある。ここに人が住んでるということは、今、一緒にあがってるこのほかの車は、皆さん、帰宅のお方たち。時々、耳がきーんとなるのをみると、相当、高いところに上がってきてるんだろう。ぐるぐる回ってやっと、目指す駐車場に8時48分に着く。9時にしまるなら、たったの10分少々。かなり険しい。でも、だいじょうぶ。駐車場は、しまるけど、出るのは自動で遮断機があがるとのこと。
展望台に行くと、そこは、銀河鉄道、宮沢賢治の世界。しかも、昼間は、真夏だったのに、寒い。トレーナーの分厚いのを着てもいいくらい。それにともなって、なんだか、靄がひどくなってきたらしくて、かすんでいる。幻想的。なのは、よかったけど、おかげで、くっきりみえるはずの、淡路島やら四国やらが見えない。それでも、こんなにたくさん、灯りがあるので、香港の100万ドルの夜景に負けないけど、遠くまで見えなかったから、98万円の夜景くらいにはなってるだろうよ。

夜中の二時までに返せばいいのだ。レンタカー。
次は、明石に行った。淡路島に架かる橋。明石大橋。
余裕があれば、渡って、淡路島に行きたかったところだが、こんな夜中におばちゃんたちがぞろぞろ夜遊びは、いただけないだろう・・・。
なので、眺めるだけで、満足する。
よく見えるポイント。大阪人がいる強みで、穴場、つぶれたお店のうらの河川敷に行く。大蔵海岸大蔵なぎさ橋あたり。ここは、ご多分に漏れず、カップルさんの好む暗がりで、ちょっと、躊躇する。
左に明石大橋。右に上弦のお月様。真ん前に灯台。右に左にいきかう、船の数々。時間の流れなど気にせずに過ごせる貴重な眺め。それはそれは、今まで見た景色の中でもナンバーワンに数えられるほどだ。この日の月とこの日の橋と、この日の海は。一度こっきりしかない人生と同じで、かぐや姫も納得するシチュエーションだったと思う。
月が沈むまで相当時間過ごした。なんてたって、明石大橋のライトアップの消灯時間11時までいたのだ。白から青に変わるのも見たし。お月様が照らした黄色のあかりで海に道ができて、なんとも絵になる景色であった。

すぐに帰りたくない私たちは、協議の末、ゲゴの運転手さんには気の毒だったけど、コンビニで酒盛り食料を調達し、夜の大阪ドライブとしゃれこんだ。半分眠りかぶりながらの道中だった。が、高速から眺める大阪の街もそれなりにきれいで、満足した。なんでも、東京の山手線みたいにぐるぐるまわる環状線というのがあるそうだ。そこを通天閣を右に左にしながらの徘徊もまたおつなものだった。

さすがに、真夜中1時過ぎ、ホテルに着くとバタンキュー。
にはならないところがワタクシ。ホテルのサービス、アイスクリームをいただいて、お部屋に向かう。部屋は、ひとりづつとっている。そう・・・。うふふ。一度やってみたかったアレ。ベッドの上で、豪快に、全部脱ぐと。真っ裸で、バスルーム。シャワー浴び放題・・・。そのまま、また、お部屋に戻って、真っ裸でアイスクリームを食べる。実は、よい子の習慣が邪魔して、ナイトウエアを身につけて、やすんだんだけど、やっぱり、裸で寝ればよかった♪(夜中に裸でベッドから転げ落ちたら、悲惨だ)

翌日。
朝は、遅めにした。9時にホテルのバイキング朝食。
バイキングは、食べ過ぎるので、よくない。最近は、轍をふまえて、和食に徹してる。パンに卵にハムの朝食にすると、昼抜きでもいいぐらいにおなかが重くなるので。でも、欲かくならば、おかず類は、ひと口づつでも、食したい。ホテルだけあって、いろんなものがある。ので、けれども、バイキングで一番ありがたいことは、和食にしてても、あとで、コーヒーが飲めることかな。あと、ちょっと甘いもの系があれば、もっとうれしいが。

おなかが満足したところで、この日は、シティループバスで、北野異人館巡りをする。
途中、バスの中から、市役所の真ん中が地震で落っこちて、隣に鉛筆のようなビルに生まれ変わったのやら、花時計を見る。シティループバスは、観光用に作られているので、キレーなオネーサンがガイドをしてくれるので、うれしい。ずっと乗っていたら、また、元のところに帰ってくるので、歩くのがいやなら、一日中乗ってれば、(オネーサンにはいやがられる!)らくちん観光できそうだ♪(しないけど)西洋館は、長崎で腐るほど見たがここもいろんな外観があって、すごく楽しい。が、この坂はなんとかならんのか。あと、500メーターは、急な坂含む500メートル。とんでもない。移動するたびに息が上がる。全部入ったところで、趣味的にどうでもいい私たちは、ただで入れるラインの館だけ満喫した。どこも阪神大震災で崩れているとこが多いようで、そのような資料が写真といっしょに展示されてあった。ほんとに、神戸の街は、きれいだ。きれいというのも、建物がすべて新しいという、うつくしさ。今でも、あいてる隙間はビルのラッシュで工事中。震災後、10年の間の移り変わりは、すごいものだと思う。

瞬く間に昼は、やってくる。このクソあつさだと、ビールだろう!地元人のいる強み。彼女の案内で行ったのは、一階がスタバの二階。トリニティ。とても、こじゃれたレストランがあるとは思えないビル。自動ドアをくぐると、そこは、かなりお洒落な空間。天井はむき出しでそっけないのに、いすやテーブルは、一角一角で形を違えている。たたみならぬコピーの毛皮様がひかれた低いいすのあるはだしであがる座卓。窓際にはスツールタイプでみんなまどぎわ向けに座る。真ん中は、人数で大きくも小さくもなるテーブル。材質は、木ではなくて、スチール系。夏?にはうれしい冷たい素材。そんなこんなで、メニューを頼み、真ん中にランチセットを配してみんなでつまむ。案外、食が細くなった私たちにはぴったりの方式。なんと、完食。ちなみにここのお薦めランチ。蒸篭三段の中に、ごはん、メインメニュー、サラダが入ってる。あと、好みで何品か、追加した。よく飲み、よく食べ、よくしゃべり・・・・。(何をか言わんや)

次に向かったのは、南京町。中華街。すぐに食べられる小ぶりの肉まんやら、見たことのない食物が所狭しと並んでいる。皆さん、そのまま手にもって食べていらっしゃる。そして、どうやら、この真ん中の広場がここのメインのようで、神輿の派手派手なやつが真ん中に鎮座している。なんでも、老祥記という老舗の肉まんは、今は昔、おいしくなくなったのだそうだ。しもた。30年前に生まれとくんだった!これだけ見れば、満足とばかりに、そこをあとにする。ここの光景は、宮崎駿の食い過ぎて豚さんになったあの映像がちらついて・・コワカッタ♪

とにかく、歩かなくちゃ。商店街を散策。おみやげも買わなくちゃ。お菓子店を横目に、歩いていると、神戸は、あちこちがスイートのお店だらけ。誘惑に負けそうになるのをこらえ先へと歩く。だけど、三時の鐘が聞こえたら、やっばり、ケーキ屋さんの誘惑に屈服してしまう。ここが割と有名でという一言で、入ったお店は、パティスリー グレゴリー・コレ 。一度聞いてもすぐ忘れる名前の店。名前も長いが、ケーキもお高い。一個、600円なりのケーキって・・・。それにケーキセットもないなんて。とはいっても、小心者の私たちは、ぴたりと座れば、もう、そこから動けん。ということで、またまた、みんなで三個のケーキと、パフェと、それぞれにコーヒー。こういう時、便利やわ。恥と外聞という単語がうすれつつ年代は、何も気にならない。どころか、おいしいものがいろんな種類食べられると、前向き思考である。
だいたい、もう、話すことないよねーと、いいつつも、この関係はなんなのだ。今までに一度しか会ったことがないのに、これだけ話題があるというのも恐ろしい。人の共有の仕方は、空間というよりも、時間という概念なのかもしれん。

ひとりは、神戸空港から東京に帰る。
ので、みんなでお見送りしようということになった。三宮にもどって、モノレールに乗る。いやー、ほんとに、神戸は交通機関が多いわ。ちょうど、ラッシュの時期なのか、人がたてつづけに乗ってくる。一体みんなどこに帰っていくんだろう?って、そこここにあるマンションなんだろうな。
空港は、海の中にあって、ちっちゃい。見渡せるほど。そこから、彼女が乗った飛行機を見送る。飛行機は飛行場をぐるりと、爆音をひびかせながら、あちらの滑走路まで向かい、せえのおー!で、スタート。加速して、空に浮き上がる。いつ見ても、不思議。あの重たいかたまりが雲まで飛び上がるんだから、人間はなんて大それたことをしてるんだか。
飛行機を見送ってたら、昨日の明石大橋に夕日が沈みかけてた。燃えるようなオレンジ色がちょっとづつ沈んでいく。飛行場からは、見渡す限り湾が広がり、これを見れただけでも、もうけもの。考えようによっては、ありきたりの観光をするよりも、ここのほうが見応えがある。

いよいよ、夜がやってきて、お別れの時間。
私は、逆回りで、福岡に向かう。

これを旅行というか、旅というか、迷うところだけれども、見る、楽しむ、ふれあう、三拍子揃ったことができたこと、感謝いっぱい。と、旅の仲間がいるということも、倍増した理由だと思う。

ありがとう。神戸。

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