じいちゃん

指輪

自分では、じいちゃんのお世話をそんなに身をいれて、しているつもりはなかった。
けれども、実の息子である旦那も、答えられんあれこれが。
じいちゃんのこまごまを聞かれたときにすいすいと答えられる自分に非常に驚いた。
幾多の入院の付き添い。
呼び出しの時のお世話などなど。
結局、一番、頻繁に接してたのは自分だった。
おうちのここに何があるかとか、あれがどうなってるとか。
なんでか、知ってる私。
でも、ね。
息子が言ってた、じいちゃんが常に、指に、はめてたぶっとい指輪。
あれが、どこ探しても見つからんのよ。
私にも秘密なじいちゃんの姿、知ってる人がこの世のどこかにいるかもしれんね。

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孤独死ということ。

義父が亡くなった。
一人暮らしのじいちゃんは、まだまだ、お元気だった。
そんなじいちゃんは、1月末に病院の定期検査に付き添ったばかり。
今度の定期検査は、7月。
まさか、その日が永遠にこなくなるとは、一秒たりとも思ったりしなかった。

いつものように、ご機嫌伺いにお昼に伺った。
直前に電話するも、出ないから、少し変だとは思ったが。
結局、玄関もしまってるし。
仕方なく、裏口から鍵をあけて、ドアをあけたら。
そこの台所に倒れてた。

晴天の霹靂。
目の前真っ黒。
驚天動地。
心臓ばくばく。
目から大量の涙。
しばらく大パニック。

そんな感じで、おうちですでに亡くなってるということは。
とても、大変なことになる。
まず、警察をお呼びして、事情聴取を受ける。
名前、住所、本人との関係、あけたときの状況とつぶさに聞かれる。
そして、刑事さんがやってきて、おうちのなかの調査。
本人の調査。
貴重品のありかなども聞かれる。
いちいち確認される。

そして、病院の先生の診断。

で、やっと、じいちゃんは、解放された。
ほんに、亡くなってるとはいえ、ご苦労様といいたくなる。

それから、葬儀屋さんを呼んだ。
葬儀屋さんは手慣れたもので、いろんな手続きをテキパキとこなす。
(それが仕事だ。当たり前か。)

おつや、葬儀と滞りなく、こなし、遠い親戚の方々にも粗相なく勤め、腰をおろす暇もなく、借家のひきわたし。

不動産と大家さんとの立ち会い。
ところが、最近は、一人暮らしの老人が多いらしく。
不動産は愚痴る。
知らないうちに亡くなっていて、親族に連絡してするも、遺体を引き取りにこない。
ましてや、年をとって、危ない一人暮らしは、火事その他で危なくて、目を見張っていなくてはいけないので、大変。
おたくは、きちんと、されてて、よかったと・・。
ひぇー、そんなことで、褒められても。

なんだかねえ。
いろんなことを考えさせられた。
もちろん、誰にも迷惑をかけずに一人暮らしをすることも悪くはないとも思う。
が、当人が亡くなったあとは、当然、当人は、動きたくても後始末は、できない。
ですから、絶対、人の手をわずらわすことになる。
あちらに近づいてからでは遅いということだ。
今のうちから、少しづつ、整理して、あちらに旅立つとき、身ひとつになるように心がけないとね。

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謎の女

じいちゃん、こないだ、近所の郵便局まで、歩いて行ったそうな。
約500メートルの道を30分かけて、歩いた。
帰りにスーパーで買い物をした。
ジュースのパックを二つ買ったら、股関節手術した左足をかばったせいもあって、右足がいたくなった。信号機が赤に変わったのはを幸い、しゃがみこんで、足をさすってた。
すると、いつのまにか、あらわれたのか、ホームレス風の女が近寄ってきて、荷物をもつといってきかない。
いいというのに、奪い取られて、家までついてきた。
少し家で休ませてというので、じいちゃんは家にあげた。
すると、いきなり、裸になりだした。
おっぱいもませてあげるから、2000円ちょうだいという。
冗談じゃない。と、憤慨する。
ますます、脱ぎだして、すっぽんぽん。
あっけにとられるじいちゃん。
警察呼ぶぞ!というと、渋々、服を着て、出て行った。
今度からは、玄関もかぎをかけるようにした。
しかし、夏は暑い。裏の窓は、あけっぱなし。
そこをとんとんとする人がいる。
なんだろうと、窓を見ると、どこから摘んできたのか、花が一本。
じいちゃんに。
見ると、こないだのホームレスの女。
なんじゃなんじゃ。懲りないやつというか。
じいちゃんの、不自由な体をみて、きっと、悪いことを考えているんだろう。

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じいちゃん退院する

12時までに退院の手続きをしなくてはいけないので、来てと言われてた。
10時過ぎに出て、11時前には着いた。
早かったな。日曜だから、車がすいてたと安堵しながら、じいちゃんの病室の見える角を曲がると、あれ〜、あれは・・・・・じいちゃん・・・・・。
すでに、ズボンをはき、杖をついたすぐに出発できますスタイルで病室の前にたたずんでいる。
どうしたの、もう、着替えたの?
おそかったな。
えっ、まだ、11時前なんだけど・・・。
荷物もすべて、バックにつめ、ベッドは整えられ、いつでも、帰れます状態。

えっと、退院手続きは?
もう、計算してもらっとる。
これを下の窓口に持って行って、お金を払い、紙をもらったら、ナースステーションの看護士さんに渡さないかん。
あ、じゃ、お金払いに行ってくるから、ベッドにすわってて・・。

きょうは、日曜なので、三階の事務窓口は、お休み。
代わりに非常用入り口にある窓口で支払う。
さすが、九大。
すでにお待ちの方が何人かいらっしゃる。
こんなところが込み合うなんて、、、、。

じいちゃんからもらった紙を渡すと、向こうで計算していただいて、お代は、しめて、三万六千円也。
やすいっ!
計算書を見ると、最初に聞いていた手術代は、確かに210万円!
ムンクの叫びになりそう・・・。
それが、何やらかにやら、計算されて・・・終いは、三万六千円。
やすいっ!
どうなってるんやろ。皿のように計算書を見尽くして、仕組みは、さっぱり、わからん。
ま、安いから、許そう・・・。
たぶん、事前に役所に行って、いろいろ手続きした甲斐があったんだろね。
そういうことだろね。きっと。

というわけで、感心しながら、病室に戻ると、なんでか、廊下の椅子に腰掛けてるじいちゃん。
なんしょうと?
座っと・・。
それは、わかっと。
私は、逃げも隠れもしませんってば・・・。

じゃ、病室の人に挨拶して、帰りましょうか。
斜め前のじいちゃんは、今だ、入院中。
運転中に意識が遠ざかり、壁にぶつけて、片足を骨折し、まだ、歩けない。おまけに糖尿病で、インシュリン注射をうたないといけないという大変さ。つい前々日から、リハビリになんとか、看護士さんに車いすにのせてもらって、いくまでこぎつけてたら、その途中、血圧が40までさがって、意識がなくなり、また、ベッドくぎづけ生活に後戻り。なかなかにつらそうなじいちゃんだ。
その方にうらやましがられながらの退院。
ちと、鼻高々なじいちゃん。

帰り道、買い物して、帰ろうかということになり、スーパーに寄った。
車から降りるのに多少もたついてたが・・・足がこんがらがってるのか・・歩きは、思ったより早い。すたこらさっさの、すた・・こら・・さ・・っ・・さ・・くらいの早さでなかなかのものだ。
ここのスーパーは、初めて来たよ。いつも、行く店より安い。
あら、そしたら、あっちとこっち、逆方向だけど、同じくらいみたいだから、こっちの店もいいかもしれんねー。
でも、いつも行く店は、俺が足が悪いからいつも、おまけしてくれるんよ。
ひぇー。
若いおなごの子のアルバイトがピッと言わさんで、入れてくれるがよ。
ひ、ぇーっ!
そのおなごん子は、いつも三時か四時くらいにおるがよ。その時間に買い物に行くがよ。
ほぇーーっ♪じゃあ、いつもの店がいいよね。
ふむふむ、なかなかに、いろんなことをしているじいちゃんである。

おうちに着いて、荷物とき。
の前に、例のトイレ。
和風を洋式の座りにするグッズ。
これをいの一番にしておかないと、間接はずれたら、大変だ。
無事、トイレに設置して、座ってすることを三ベンくらい確認。
男の人だから、おしっこは立ってしたかろうけど、あちこちはねたらあれだから、座ってするようにしたら・・・。
それ、あげればよかろうが・・。
便座。
ま、そうなんだけど。
(長年の習慣は急には変えられん、しようがないか)

薬をだし、洗面器をだし、いろいろ、片付け終わり。
ひっ!これ・・・。
パジャマ!
レンタル!
これ、返さないと・・。
よかよか、わからんよ。
ぺろっと、舌を出し、してやったりのじいちゃん。
知らんうちに入っとった・・。
(ほんとかいな!)

また、なんか、あったら、電話してねーと、いいつつも帰宅するが。
よかよ。車があるから、自分でするからー・・・。
(それがこわいんだけどー)
あらー、そうですかー。
じゃあ、きょうはゆっくりしててねー。
おでんとおにぎり、今日、食べとってね。

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じいちゃん、まだまだ入院中

5日が、退院予定でしたけど、毒素が出てるから、もう少し様子を見ましょうと、言われて、入院中です。
だいぶ、リハビリも進み、杖なしでも、歩けるらしいのですが、まだ、骨に肉がまわってないとかで、杖あり歩行中です。
ついつい、杖なし歩行をして、看護士さんに見つかり、おこられている常習犯なのですが。それをまあ、うれしそうに話してるじいちゃんは、もしかして、確信犯。

座る暇のないおしゃべり攻撃のなか、看護士さんがお熱をはかってくださいと、来られたのを機に椅子を取りに行けました。
ピッピと体温計がなると、看護士さんが「いいですよ」と、言われました。
じいちゃんは「なにが?」
と、看護士さんの顔を見ると、看護士さんは、困った顔をして、うつむいて、無言の返事。もう、すぐ、かわいい看護士さんになるとからかうんだからと、思いながら、ほら、体温計、だして、熱を教えてあげたら・・と、促すと、しぶしぶ、楽しいおもちゃをとりあげられたこどものような顔で体温計を差し出しました。
見ると、34度4分。爬虫類かよ。
ちょ・ちょっと、低すぎるのではないですか・・・。
もう一度はかり直すのでと、看護士さんに言って、あとは、私がしますからと、お引き取り願いました。
ふと見ると、じいちゃんは、必死で体温計をふっています。
何してるの?
体温計をさげよる。
って、それ、デジタル体温計だから、ふっても下がらんのですけど。
ほら、さがりよる。。。
わけはないのですが。
いいから、このケースに入れて、もう一度とりだして計るんです。
ふっ、35度7分。人間に戻った・・。

帰りかけてる看護士さんに、毒素があるから、退院がのびたと本人が言ってるんですが、手術の時の関係でしょうかとお尋ねしてみました。
思い切り首をひねって、???な顔をする看護士さん。
体に炎症が起きてるから、朝と晩に点滴を打ってもらってます。
その炎症の検査を血液をとって毎日調べています。
だいぶ少なくなってきてるので、来週あたりに退院ではないでしょうか、
という看護士さんの話。

うーーん、毒素は、どこにあるんだ!

朝早くこられる主治医の先生の話。
病室の患者さんの気の毒な話。
手術したあとの傷の話。
隣にいらした面倒見のよかったちょい若い人の話。
月曜日の院長診察お大名行列の話。
出てくる出てくる、洪水のような話を聞きながら、ほんと、トイレに行く暇もないし、帰る暇もないなあと、相変わらずの元気ぶりに喜んでいいのか悲しんでいいのやら。
そして、やはり、気がついたら五時の鐘。
シンデレラならぬシュフデレラは、急いで帰ってごはんを作らなきゃ、おばあちゃんになってしまう・・・って、急がなくてもなるんだったと・・・・。

それにしても、前回、旦那が行った時の話には、驚いたものです。
よかよか、引き出しに鍵なんかかけんでもと、財布も保険証も引き出しに入れっぱなしだったじいちゃん。
見かねた旦那が財布を預かっておこうかとのぞいたら、ニジュウマンエン!
!!
一体、なんでこんなに持って来てるのかじいちゃんに聞くと、テレビ見ろーもん。
って、テレビカードは、一枚1000円。
どんだけ、見んのかい!と、あきれはてた旦那。
とりあえず、お預かりしてきた財布ですが、盗られたら、どんだけ、青くなったやら・・。
太っ腹なのか、いい加減なのか、始末に困るじいちゃんで。

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じいちゃんリハビリ中

一週間たち、どんな具合か見に行った。
きょうは、ばあちゃん、うちの母も一緒に連れて行った。

うちの母とじいちゃんちは、同じ町内にある。
歩いて、15分。車で5分。何かと便利だ。

まず、母のとこに寄って、ご機嫌伺いをする。
テーブルの上にお見舞いの封筒がのっていた。
誰か具合悪いと?
誰かって・・・。じいちゃん・・。
あ!そんな気をつかわなくても・・。
いや、そういうわけには・・。
全く、年の功は、何かと、気を使うもので。

というわけで、何が何でも、一度はお見舞いに参上しなくてはという決意が顔中みなぎってる母を行かなくていいよと言うのは、ものすごく難しく、渋々、連れて行くことになった。

じいちゃんは、相変わらず、顔色がよい。
リハビリの進行を聞くと、二日ほどしたみたいだ。
両手のとこに手すりがあっての歩行と、寝たまま体操をする足の筋肉強化をしているらしい。
なんでも、じいちゃん、リハビリ室には、車いすでひとりで行ってるらしい。でも、看護士さんが車いすを押して連れていっていただけないことが、ちょっと不満そう。
でもまあ、ひとりで車いすを操れるようになったというだけでも、リッバなもんだ。

人口関節は、ぎしぎし音がするらしい・・・。
と、感心してたら、すかさず、おとなりの若い兄ちゃんが。
おじちゃん。その音がするのは、いけない動きをするからですよ。
たてに動かすのはいいけど、横に動かすのは、関節がはずれるからいけないと言われてたでしょう・・。
じいちゃんいうところの、動かしとらんけど、音がしてた。
???
内股と、ものを拾うのは、やめておいてくださいね。
わかっとる。
足踏み出すとき、どうしても、手術した足からふみだすから。
癖やろね。
???
意味不明だけど、自分の体だから、どうにかうまくまわってるだろうと、無理矢理なっとくする。

母に話しかけてた。
じいちゃん曰く
病院からもらう睡眠薬を瓶一杯ためてるからと。
年とって、楽しいことはないし、そんなに長生きしなくてもいいし、いざという時は、
睡眠薬があるからと、母に訴える。
それを受けて、母は。
睡眠薬飲んでも、死にきれんやったらどうするんですか。
死ぬとは限らんでしょうが。
苦しんで、きつい思いをして、迷惑をかけて・・。
やめとった方がいいですよ。
けだし名言!

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じいちゃん手術後

三日たって、病室をのぞいてみた。
顔の色つやもよく、驚くことに、もう、二本足で立っている。

手術して、一週間は、ベッドの上で上半身を少しづつ起こしていくのが基本。
歩くのも立つのも絶対禁止と聞いていた。
が、すでに、手術の次の日には、車いすを使ったらしい。
そして、案の定、トイレまで、歩いていき、おこられたらしい。
まだ、骨に肉がくっついてないのに、ここで、人工関節はずれてしまったらどうするの!と、看護士さんにいわれたらしい。
手術したことをやっぱり、忘れていたんかいな・・・。
しかし、傷のなおりもかなり早く、あと、三日はかかるといわれてたドレーンがすでにとれてたらしい。
そろそろリハビリをはじめてもいいといわれているらしいのだが。
ということは、退院の予定は、12月5日であったけれど、今月中になるかもしれない。
またまた、自己申告で言い張るじいちゃんの言動が心配で、病室に来られた看護士さんに尋ねてみると、可能性はあると言われた。
年のわりに早い回復を喜ぶじいちゃんは、同室の患者さんに盛んに自慢している。
どうも、じいちゃん、ここにいるのが楽しいらしい・・というか、ものすごく嬉々としている。
ちょうど、その日は、先月分の入院費の支払いだった。
御用達の私が下の階まで支払いに行った。
まだ、手術をする前の検査三昧の月でしたので、8000円弱。
期間は、一週間。割り算すると一日、1200円少々。
おおっ!
じいちゃんは、ずっと、おってもいいかもね、と、感嘆する。
私もずっとおってもいいかもね、同意する。
頑張って、リハビリ、しつこくしようよねと、言外の意味を込めて話したが。。。

四方山話をしていて、手術の話になった。
な・なんと、じいちゃんは、あの手術後、手術室から、ベッドにのせられて病室に帰ってきてから、翌日までの、記憶がないと言う。
ご丁寧にどうやって、病室に戻って来たかを尋ねるじいちゃん。
まるっきり、記憶がない。って。。。
手術室にはいって、脊髄の麻酔を打たれて、下半身は、痛みがなくても、カンカンと骨を打ち付ける音は、覚えてたらしい。
麻酔の女の先生が耳元でいたくないですかといいながら、自分の頭を両手で抱いていたのを最後に、記憶が途切れてるんだとか。。。

え、え、え!あの手術室から出た直後しゃべってたアレやコレは・・・?
病室に戻って盛んに手術の様子を話してたアレやコレは・・・?
あの病室での点滴はずれの騒ぎやら、亀の子のように首をのばしてたアレは?
一体・・?
じいちゃん、幽体離脱でもしとったんかいな?

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手術


朝から、目覚ましの不備があって、大忙し。5時半に起きるつもりがとっくに6時を超えていた。お弁当を作って、朝飯を食べて、身支度をして、6時50分に出る予定。
仕方がないので、立ってパンを口におしこみながら、なんとか7時前には家を出る。
朝焼けが美しいなあと余裕の観賞をしながら、病院へ向かう。
朝焼けって、下から上に山や建物を照らすのね。
以前、写真だけ見て、朝焼けと夕焼けの違いがわからなかったのだけど、初めてわかった。色といい、日のさし方といい、朝日と夕日は違う。

病室に着いたのは、7時半前で、いささか早すぎた。
とっくに、じいちゃんは起床して、テレビを見ていた。
開口一番、歯がぐらぐらしていたのをあれから、歯医者に見てもらい、かためてもらったらしい。ぐらぐらしないことをしきりと不思議がっていた。国立病院ならではの迅速な措置だろうと思う。夕方になって、気がついて、それから、歯医者で歯をかためてもらう芸当ができるとはね。ちと、九大を見直した。

そうこうするうちに車いすで手術室につれていかれたじいちゃん。
手術室の前でお別れだ。
割とあっけない。

待合室は、8時前だというのに、あっというまに人であふれ、平日なのに、こんなにたくさん。手術がたくさんあるんだろうなあ。
だいたい、11時くらいには終了の予定と聞いていたので、11時半をこえると、やきもきした。ほどなく、内線電話で名前を呼ばれた。
手術室の横の部屋で説明がある。
インフォームド・コンセントの時のように、レントゲン写真が使用前、使用後とふたつ貼付けてあった。
見事に人工関節がついていた。
先生のお話でも、申し分ない、手術のできだと言われ、間違いなく、急速破壊型と太鼓判を押された。(喜ぶべきか?)
麻酔は、腰の麻酔だけなので、自由に患者はお話できるのだが、じいちゃんは、かなり、手術中もおしゃべりしていたようだ。先生もそのおしゃべりが面白かったらしく、ぶどうが食べたいとかいわれてましたよ、と、教えていただいた。本人は、覚えていなかったが。
手術自体は、きれいにモモ骨に人工関節がささっていて、短かった左足もほぼ、長くなり、大成功と言えるだろう。

手術室から、じいちゃんが出てきた。もちろん、ベッドに安静にされたまま。
ドアから出るやいなや、じいちゃんは、何かしゃべっている。
酸素マスクが口にはめてあって、よく聞き取れない。
手術の様子、部屋が100ぐらいあるくらい広いとか、人工関節を骨にさすガンガンという音がすごかったとか。麻酔のせいか、びりびりしたとか・・。
手術室では、子供に話しかけるように話しかけられたとか。
とにかく、間断なく、しゃべっている。
おいおい、ほんとに、手術を受けた人間か。
ほかの方も手術室から出てこられてたが、みんな、土気色になって憔悴しきったお顔であったのに。
エレベーターに乗り込むも興奮さめやらず。先生はものすごく手術がスムーズにいったことを喜んでいらしたとか。スタッフの服装の話やら、おしゃべりがとまらない。ちょっと、麻酔を今からでもうってもらった方がいいんと違うやろか?おとなしくなるようなやつを。
病室に戻り、今度は、いろんな機械に体を拘束される。
お約束の点滴は、左右二本。酸素吸入に尿カテーテル。指に酸素計測器。腕に血圧形。足は、静脈血栓防止靴下にマッサージ器。患部にドレーン。背中は、麻酔を打った管からの痛み止め。
きょうは、頭をおこすのも、寝返りも禁止の絶対安静。

なのにねー。じいちゃんは、ちょっと、話しかけると、うっと首を亀の子のようにのばしてくれる。だから、首をおこすのもだめなんだってば。。
そのうち、手術した方の足が足枕から落っこちそうになる。
時計をしたら、点滴がとまって、ピーとなり、酸素計測器も自分でとって、ピーとなり、やたら、にきやかで、忙しい病室だ。そのたびに、看護士さんがでたりはいったり。

あまりにしゃべるためか、くちびるが白く乾いて、痛そう。皮膚がガビガビになっている。お茶をあげたいけど、まだ、飲むのは、禁止。
テッシュで拭くくらいはだいじょうぶといわれたけど、全然まにあわん。
寝てくれたら、一番いいんだけど。やっぱり、しゃべりたいみたい。
きょうの看護婦さんは、中年なのに、よく動いてくれて感心だと絶賛する。
ただ単に、じいちゃんの扱いに長けていらっしゃる、年の功ジカラがあるんだと思うのだけど。
ベタ褒め看護士さんは、ななめむかいのじいちゃんにも、こちらが気恥ずかしくなることをあっけらかんと話しかけてある。
ちなみに、斜め向かいのじいちゃんは暑がりのようで、すぐに上のパジャマ、シャツ、ズボンまで脱いじゃうらしい。しかも、下ははすっぽんぽんでいびきかいてるから・・若い看護婦さんは目のやり場に困るというわけ。
というようなことを中年看護士さんは、ふんどしくらいはつけてないと恥ずかしいでしょう・・男前がさがるよと、すると、そのじいちゃんもほにゃららがほにゃらら〜からねー・・って・・・。そやろ、ちゃんとふんどししないと。と、平然と受ける看護士さんは、えらかった♪

お茶飲み補助だけは、してかえろうと思ったが。
なかなか許可がおりない。
朝7時過ぎにきて、5時をまわり、きりがないので、おいとますることにした。
今一度念押しと思い。
いい、お茶飲むのも看護士さんを呼んでくださいね。決して起きて自分で飲もうと思わないように。
飲めるがよ、お茶、起きれば・・。
だ・か・ら。起きたらだめなんだってば。
きょうは絶対安静にしててね。。。

って、帰宅してからも非常に気がかりだ。

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あしたの手術の準備

結局じいちゃんは、貯血のための入院から一時帰宅がかなわず、病院のベッドにしばりつけられたまま。
手術に必要なものは、私が一手に引き受けることになった。
どう考えてもあすが手術ということは、きょう、そろえるしかない。
旦那は、当日でもよかろーもんとのたまうが、このじいちゃんにして、この息子あり・・事態の認識不足と言ったら、のどをかきむしりたくなるほど。
それはさておき、するべきことはする、やれるときはちゃんとやるを心得ている私は、でかける30分前から、大騒動して、うちのなかをひっかきまわして、バスタオル、タオル等をそろえた。
あとは、病院の売店で買うものだけだ。

相変わらず、ベッドでごろ寝のお気楽テレビ鑑賞をしていたじいちゃんにお声をかけ、あしたいるものをそろえとこうか・・と、言ってみた。
売店に買いにいかないといけないんだけど、一緒にいく?それとも、私が買ってこようかとたずねてみる。
T字帯は、ふんどしがあるからいらんやろーと、いうじいちゃんを手術やから、T字帯いると思うよと、説得するものの、譲らん。
じゃ、看護士さんに聞いてみるで、保留にして。
あとは、紙オムツ、平型がいるね。
となりの人がお尻の下にひくがと言ってたから一枚でいいか・・。
それも、3枚から5枚と書いてあるから、看護士さんに聞こうねとやさしく説得する。
売店には、どうやら、自分も行くらしく、財布がいるか?と尋ね返され、いるんじゃないの、売店だからと、一応答えた。
杖ついて行くかと言うと、遠いから車いすに乗るという。
ベッドのかたわらには、常時、車いすがセットしてあり、いつでも、乗れる。
このフロアーの患者様は、皆さん、自力で車いすを器用にあやつっておられる。
じいちゃんは、自分でこげると?
いや、こいだことない。
ここをあっちやると、ブレーキで動かんごとなる。
なるほど。
えっと、じゃ、ブレーキはずしてね。
動かすから。
うっ!重い。重すぎる。じいちゃん、重いよ。
まっすぐいかず、蛇行運転になってしまう。
ナースステーションで、例のもめたT字帯と紙おむつの詳細を聞く。
男の方だから、ふんどしでだいじょうぶですよ・・。
うれしそうなじいちゃん。
紙おむつは、長方形のが売店にあるので、聞いてくださいとのこと。

エレベーターに乗り込むのは、大変。後ろから押して、方向転換しろと言うので、長四角のなかで、ぐるりとまわった。これは、案外、スムーズにできた。
車いすの車輪がえらく機敏に動いてくれる。

売店の中はもっと大変。通路にはみでた商品の箱。角にある説明の旗。
狭い通路を歩く人。よけたり、棚にあたったりする。じいちゃんの手が届くとこにうまく車いすを寄せるのは技がいる。
そこでじいちゃんの一言。
車の運転と一緒たい。
ま、そうなんですが・・。

病室に戻り、そろそろ、かえろうかなと立ちかけたら、あしたの為に麻酔の先生の説明があるといわれ、また、腰をおろす。
キンキン声のお若い女の子とでも言ったほうがよさそうな白衣の先生から説明を受ける。
意外だったのは、全身麻酔かと思ってたのに、腰から下の局所麻酔しかしないのだそうだ。手術としては、時間的に軽い方なのだろう。
麻酔を打つ時に脊髄付近に注射するとかで、左を下に横向きにならないといけない。じいちゃんは、左が悪いわけだから、日頃から、左をしたに寝ることは、していない。
ということを先生に説明する。
じいちゃんは、左向けでというのが今いちわからない。
だけど、ベッドで左を下に寝てもらったら、平気であった。
どうもない。
じゃそれでいいよね。
手術の時は、右を下に横向きに行うらしい。

麻酔は脊髄に限りなく接触する位置まで針を入れる為、手術中は、うなづきは禁止、口で、はいといいえを言って下さい。
うんと、うなづくじいちゃん。
麻酔の先生は、あせって、うなづいたら、脊髄の針が違うところにもしかしてあたりといけないので、だめですよ。
うんとうなづくじいちゃん。
うなづいたら、いかんとよ、と、私。
うなづいて、そうや、と、言うじいちゃん・・・・。
ありゃりゃ・・・きりがない・・・。

そんなこんなで、話は進み、念のため、ご高齢ですから、もしかしたら、途中で全身麻酔をするかもしれないので、その可能性と、注意について話があった。

ほとんど、聞き流していたのだが。
歯は悪くないですか?
入れ歯を入れてるけど、はずしたほうがいいですか?と、じいちゃん。
見せてください。
とりはずし、見せるじいちゃん。
これは、朝、はずしといてくださいね。と、先生。
歯は、だいじょうぶですか?
どうもなってない、と、じいちゃん。
ちょっと見せてください。大きく口をあけて。
失礼します。と、先生がさわると、ぐらぐら・・・。
あらら、おくの歯もぐらぐら。。。
全身麻酔の時は、無意識状態になって、口をこじあけるので、どうしても、口をあけるとき、歯の部分に握力がかかる。
それで、折れてしまうこともある。
そして、こわいのは、その折れた歯が器官に入ってしまって合併症をひきおこす。ゆゆしき問題だ。
じいちゃんは、相変わらず、ピンとこない様子である。
歯科医に診察してもらって、抜くかもしれません。
こんだけ、ぐらぐらしようから、抜いてた方がいいねと、私。
ほんとに、たかだか、麻酔の説明かと思ったら、とんでもない事実がでてくる。びっくり。

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インフォームド・コンセント

じいちゃんの主治医からの要請で、手術前の説明にお話を伺いに行った。
手術の詳しい説明と、現在の体の状況、術後についてと、多岐にわたって、話があった。
手術そのものについては、文書やネットなどで、なんとなく理解していたものの、実際、これをいれますと、本物の人工関節を見た時は、こんなんが足の骨にささるのかと、今の医学の進歩に脅威を覚えた。
レントゲンでじいちゃんの足の付け根を見ると、右は、丸い間接がお月様のように見えるのに、左は、間接の丸い部分がひしゃげ、なおかつ、股関節本体部分にめりこんでいる。レントゲンだけでも、5センチ以上、上にずれこんでいるのがわかる。ほんとに、こんだけ、めりこんでいたら、いいわけないということが目に見えて納得できる。なんでも、年齢も年齢なので、このめり込み方は、半年くらいで急速に進んだらしいのだ。このままいけばどうなったかと思うと、ちょっと怖かった。

じいちゃんの現在の体の状況もいろいろ問題を抱えていた。
心臓の微弱の乱れ、糖尿っ気、人工股関節を埋め込むにあたっての股の骨のもろさなど、心配しだしたら、きりがなくなるほどであった。中でも、尿路感染症にかかってたらしく、それが、大きなキーポイントだった。でも、幸いなるかな、じいちゃんのくそ根性のせいか、全部の問題を抱えても手術には問題ないとの結果であった。

術後については、和風のトイレ厳禁など、いくつか、できない動作がある。間接を深く曲げるとはずれたりすることがまれにあるからだ。
じいちゃんは、すかさず、膝はまげてもいいですか?と質問する。
先生は、一瞬、きょとんしたものの、人工関節は、これぐらいだから、膝までこないので、ふつうにされててくださいと、口元に笑いを含みながらおっしゃった。まともに納得したじいちゃんは、安心したようにうなづく。
あと、気になったのは、おふろのこと。しゃがめないと入れない風呂なので、だいじょぶだろうかと尋ねてみた。
もちろん、曲げ方さえ気をつければ問題ないと言うことだった。
そしたら、何を思ったか、じいちゃん。
風呂に入るときは、右足から入れて、左足をいれますと、自分が風呂に入るときのありさまを極めて詳しく説明しだした・・・。
先生は、ほとんど、笑いながら。
トンで入るわけにはいかないから、やっぱり、右足からでも左足からでもどちらかからでも、片足づつ、入らないと・・と、満面の笑顔で話をされた。

何はともあれ、8日の手術が無事に終わればいうことないということだ。

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